卒論で10分の1ぐらい

年末から年始にかけて、例年卒業論文の製作がピークを迎えます。1月下旬が提出時期になっているためです。卒業論文にどれだけ力を入れるのか、あるいは入れさせるのかは、おそらく大学やゼミによってかなり違いますが、個人的には、かなり力を入れさせている方だと思います(成果はともかく)。ウェブに公開しているのも、その一つです。

毎年10点ぐらいを担当するわけですが、最近思うのは、そのうち半分ぐらいについては、少なくとも数行は面白いと思う一文やパラグラフがあるということです。あーなるほど、と思ったり、確かにこういう風にも考えられるかもね、と感じたりします。

それをもっと広げて欲しいと要望もしますが、実際にそれを広げられるのは、1つあるかないかというところではあります。もう1、2歩頑張ってみて欲しいと思うものもあります。しかし残念ながら、そこから進めるものもやはり1つあるかないかというところです。

この感覚、10分の1ぐらいというのは、そういえば人による差というよりは、自分自身が書いているものでも同じかもと思います。あれやこれや論文に挑戦しているわけですが、満足いくものが書ける確率は、10分の1ぐらい(もない)です。それでも、その中にも1、2行ぐらいはうまくかけている部分があり、それを広げたいと思うわけですが、しかし自分でもうまくはできません。もう1、2歩頑張ればとも思いますが、やはり結局進めないままです。

論文は、誰であっても、いつでも10回ぐらいは書いてみないといけないということになりそうです。たくさん書けば書くほど上達していくに違いないと思っていた頃もありましたが、どうもそうでもなさそうです(これこそ人によるのかもしれませんが)。たくさん書くことが重要なのは、単に確率的に10分の1ぐらいなのだから、たくさん書くことでしかいいものはできないというだけのことのようです。結局、いつまでもどこまでも、たくさん書き続けるしかないわけですね。

卒論は1回の作業であり、しかも、リバイスする機会がほぼありません。せめてと思い、中間提出を事前に設定することで1回ぐらいはリバイスできるようにしていますが、せいぜい0.5回分ぐらいでしょうか。いい論文が書ける可能性は依然として低いままです。もちろん、作業の質と量がいわゆるレポートとは異なるため、どんな卒論でも特に最初のものほど満足感はかなりありそうです。しかし、満足感があるからといって、論文としていいかどうかは別でしょう。できることならば、何度も繰り返し、やり直すことが大事になりそうです。


2018年01月10日 | Posted in エッセイ | | Comments Closed 

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