ライザップのピンチ

こんにちは。石田です。
「結果にコミット」でおなじみのライザップが今ピンチを迎えています。2019年3月期の営業利益は、前年度から約211億円マイナスの93億円の赤字であると発表しました。ライザップの主軸事業であるヘルスケア・スポーツジムは好調だったのですが、ここ2~3年でコミットしすぎたM&Aによって子会社化した事業がことごとく赤字を計上したのです。
ということで、今回はライザップがM&Aで失敗した原因を考察していきたいと思います。

ライザップがM&Aで買収・合併してきた企業は多種多様です。本業の美容・ヘルスケア事業を始め、アパレルや建築、出版社などありとあらゆる事業の、特に業績が芳しくない会社に手を伸ばしてきました。その数は2016年3月からおよそ2年半で60社増の85社にまでのぼります。
では、なぜライザップはこんなにも急激なM&Aを繰り返したのでしょうか。様々な理由があげられますが、主な目的は「負ののれん」(企業の時価総額よりも安い値段で企業を買収すること)でしょう。これにより、その差額分を営業利益として計上することができ、短期間で成長することができます。事実、2018年の営業利益の136億円のうち、74億円が「負ののれん」による利益でした。

これらの子会社の悪化した経営を立て直して黒字化することで、その利益をそのまま享受する予定でしたが、企業数が多いことがあだとなり、テコ入れが追い付かず、昨期のような赤字を計上する結果になってしまったのです。

失敗の原因として考えられるのは、M&Aにおける見通しが立っていないまま、実行に移してしまったことが挙げられます。「負ののれん」のほかに、多角化による分散型の企業成長を意図していた可能性もありますが、それを実現するには「目的」や「M&Aの必要性」「成功の可能性」などの多くの課題を多角的に分析する必要があります。ライザップはこれらの見通しが立たないまま行動に移したために多額に赤字を計上してしまう結果となってしまったのだと考えます。

 これから、ライザップがどうなっていくのか注目していきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です