こんにちは。3年の小林です。
今回は初の投稿という事で、私がここ1年間で個人的に最も印象に残ったマーケティングに関するトピックを紹介させて頂きたいと思います。
みなさん、最近TVはご覧になっていますか。YouTube等が登場してから若者がTVを観る時間が減ったと言われていますが、敢えて今回お話しするのはTV番組に関わる話題です。
TV番組を観ていると、CMに入る直前や番組終了直後に「この番組は○○の提供でお送りします(しました)。」というアナウンスと共に画面に企業名が表示されている事に気が付くと思います。これは『提供クレジット』と呼ばれ、各番組に出資した企業・団体といった協賛スポンサーの名前を宣伝する目的で用いられています。この提供クレジットおよび協賛スポンサーに関して、TV業界ではある暗黙のルールが存在しています。それは「同じ番組に同じ業界の競合企業が一緒にスポンサーになる事はない」というものです。しかし、昨年10月このタブーが破られる出来事が起こりました。
昨年10月、テレビ東京系で「共演NG」というドラマが放送開始しました。このドラマは、「テレビ東洋という架空のTV局が互いを共演NGとしている俳優同士をW主演に据えてドラマを制作する」というストーリーになっています。内容も普通のドラマとは一風変わった設定で非常に面白いのですが、SNS等を中心により話題となったのは、その提供クレジットでした。それがこちらです。(画質が悪く、申し訳ありません。)
動画を観ていただくと分かるように、この番組はキリンとサントリーの2社が協賛スポンサーとなっています。この2社は同じ飲料業界のライバル企業同士であり、先にも述べた業界のルールから考えれば共に協賛するのはタブーとなります。更に、この2社は2010年に経営統合交渉が破談に終わった過去もあり、まさに「共演NG」な関係でした。そんな2社がただ協賛するのみならず、提供読みでは交互に企業名の掛け合いが行われ、最後には「この番組は何とか共演OKになったサントリーとキリンの提供でお送りしました。」の文言で締め括られる。これは明らかに異様な光景でした。
この共演は、テレビ業界における広告の新しい形を模索したテレビ東京営業局の提案に、番組提供の新しい価値を見つけたいと考えていたキリンと、コロナ禍で落ち込んだ世間のムードを楽しい企画で元気にしたいと考えたサントリーが共感した事で実現しました。結果として、この提供クレジットはSNS等で大きな反響を呼び、話題となりました。
https://twitter.com/kyouenNG_tx/status/1335947671916470275?s=20
最終回終了後にはドラマの公式Twitterから上のような投稿がされ、更に話題を呼びました。
この提供クレジットの企画は、テレビ業界のタブーを破ったという点でも競合他社同士が手を取り合ったという点でも、非常に斬新な企画であったと思います。私自身、普段は注意の向きづらい提供クレジットですが、このドラマではクレジットが流れた瞬間に画面に釘付けになりました。今回の例のような、それまでになかった画期的なマーケティング手法は宣伝効果を持つだけでなく、観る者を楽しませてくれるものなのだと実感しました。今後も日常の中で様々なマーケティング事例に目を向けていきたいです。ご覧いただきありがとうございました。
参考
共演NG公式ウェブサイト 第1話|ストーリー|共演NG|テレビ東京 (tv-tokyo.co.jp)
キリンとサントリー「テレビの掟破り共演」の訳 テレビ東京のドラマで一緒にスポンサーに キリンとサントリー「テレビの掟破り共演」の訳 | テレビ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 (toyokeizai.net)