〇〇家の正体

こんにちは!3年の小堀です。
緊急事態宣言の延長が決まり、6月も体調に気をつけながら大学生活を送りたいと思っています。

 

さて、本日は、皆さんが一度は目にしたことがある「○○家」、すなわち「横浜家系ラーメン」(以下、「家系」)について、なぜ横浜を飛び出して全国的に広まったのか分析していきます。

まず、家系とは、
・ガツンとした豚骨醤油スープ
・中太麺
・店舗独自のチャーシュー
・ほうれん草と大きめの海苔

これらが特徴の横浜発祥のラーメンのことを指します。個性的であるものの、味の調整が自由にできるお店が多く、今では万人受けする味になっていると感じます。


(筆者撮影)

そして、この家系発祥のお店が横浜駅西口にある「吉村家」です。いつの日も列を形成しており、屈指の名店と言われておりますが、実は吉村家の直系店は11店舗ほどしかありません。つまり、私達が普段目にする、赤い看板で「横浜家系ラーメン〇〇家」と書かれたお店のほとんどは、大手外食系企業によって運営されているフランチャイズ店であり、元祖吉村家との関係性は一切ないのです。また、都内・都下にチェーン展開している家系は130店舗と言われ、全国には2,000店舗程あるそうです。

 

では、なぜ、家系が全国に広がるようになったのでしょうか。

第一に挙げられるのが、90年代後半の直系でない家系の登場に合わせるような形で、00年代のラーメンブームに支えられたことがあります。特に、94年、横浜ラーメン博物館にオープンした「六角家」は下火をつけ、家系が一般にも知られていきました。また、和から洋へと食生活が変化する中で、日本人は肉をより多く食べ始め、豚や鶏の動物エキスや油を求めるようになったといいます。すなわち、動物エキスの入ったラーメンスープに醤油が加った家系ラーメンは、まさしく、日本人好みの味とマッチしていたのです。

 

もう一つの要因が、技術の進歩です。本来ラーメンのスープを一から作る場合、営業中ずっと煮込み続ける必要があるため、光熱費と人件費がかさみ、廃棄も当然出てくることでしょう。しかし、現在、大半のフランチャイズ店では、専門業者から冷凍スープを一括で購入し、店内で解凍をしています。こうしたセントラルキッチンは、コストカットが図られ、原価率を抑えることを可能にしつつ、職人がいなくても簡単に家系の味を再現できるようにしたのです。

 

 

このように、家系が00年過ぎから台頭してきたのは、単なる流行や偶然ではなく、大手企業の戦略であったことがうかがえます。チェーン展開する家系は、時代を見据えてブームにあやかり、市民権を得ていくことで大衆の味と移り変わっていきました。元祖とは異なるルーツではあるものの、間違いなくビジネスの成功例と言える家系は、東京では各駅に一軒あると感じるほど私達の身近なお店になり、現在、家系という一ジャンルが一般化しているのです。

 

余談にはなりますが、吉村家は間違いなく家系の総本山であり、並ぶ価値があるほど美味しいので是非一度、元祖の味を食して頂けると嬉しいです。

【参考文献】
「家系」ラーメンブームで見落としがちな真実|東洋経済オンライン

家系ラーメンはなぜ全国に広まったのか?総本山「吉村家」創業者が明かす“魂”の40余年|Walker+

今さら聞けない? 二郎や天一より「家系ラーメン」が万人受けする理由|URBAN LIFE METRO

“家系ラーメン”FC店舗増の秘密は冷凍スープにあった|週プレNEWS

【ラーメン王・石神氏が語る】家系ラーメン急増の理由は「日本人の食生活の変化」と「調理技術の進化」にあり|GetNavi web

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