第10章 「持たない消費」のマーケティング (3年 清水)
本章は、デジタル経済の進展に伴い拡大している「所有しない消費」について、サブスクリプション、シェアリング・サービス、そして具体事例としてのエアークローゼットを中心に論じている。従来の消費は商品を購入し所有することに価値が置かれていたが、近年ではサービスとして利用すること自体に価値が見出されるようになっている。本章はこのような消費行動の変化を背景に、企業のビジネスモデルやマーケティングの変化を明らかにしている。
まず、サブスクリプションについてである。サブスクリプションは、一定期間の利用権を提供するビジネスモデルであり、消費者は商品を所有するのではなく継続的に利用する。このモデルでは、企業は単発の販売ではなく長期的な顧客関係の構築を重視する必要がある。また、利用履歴や嗜好データの蓄積により、個々の顧客に最適化されたサービス提供が可能となる点も特徴である。一方で、こうしたデータは他サービスへの移行を難しくするスイッチングコストを生み出す要因ともなる。
次に、シェアリング・サービスについてである。シェアリング・サービスは、複数の利用者が資源を共有する仕組みであり、利用効率の向上やコスト削減といった利点を持つ。このようなサービスは、必要なときに必要な分だけ利用するという消費スタイルを可能にし、「所有から利用へ」という流れを加速させている。また、デジタルプラットフォームの発展により、利用者同士のマッチングが容易になり、サービスの利便性が高まっている点も重要である。
さらに、本章では具体例としてエアークローゼットが取り上げられている。このサービスは、利用者の好みや体型、過去の評価データをもとに最適な商品を提案するファッションレンタルサービスであり、単なる衣服の貸し出しにとどまらず、スタイリング提案を含めた体験価値を提供している点に特徴がある。利用者は自分で商品を選ぶだけでなく、プロのスタイリストやデータに基づいた提案を受けることができるため、新たなファッションとの出会いが生まれる仕組みとなっている。
また、利用者のフィードバックが蓄積されることで提案の精度が向上し、より個人に最適化されたサービスが提供される。このように、データの蓄積と活用がサービス価値の向上に直結している点は、デジタル経済下のマーケティングの特徴をよく表しているといえる。さらに、こうした仕組みは利用者の満足度を高めるだけでなく、他サービスへの移行を難しくする要因ともなり、結果として継続利用を促進する効果を持つ。
以上のように、サブスクリプション、シェアリング・サービス、エアークローゼットはいずれも「所有しない消費」を支える仕組みであり、継続利用やデータ活用を通じて企業と消費者の関係性を強化している点で共通している。
本章を読んで、自分自身の消費行動を振り返ると、動画配信サービスや音楽配信サービスを日常的に利用しており、「所有しない消費」が当たり前になっていると感じた。また、一度利用し始めると他サービスへ移行しにくいことから、スイッチングコストの影響も実感できる。一方で、利便性が高い反面、提示される選択肢に依存してしまう可能性もあると考えた。今後は利便性と多様性のバランスを意識した消費行動が求められると感じた。