ソーシャルメディア・マーケティング まえがき

 

ソーシャルメディア・マーケティングの本を書きました。まえがきを販促用に掲載します。

まえがき

多くの企業は、インターネットやソーシャルメディアに対して、期待と不安の入り混じった感情を抱いているようにみえます。時に、インターネットやソーシャルメディアは心強く、天使の福音となります。その一方で、インターネットやソーシャルメディアは残酷であり、悪魔の炎上も引き起こします。どちらになるのかは、その企業が、マーケティングの本質をよく理解しているかどうかにあります。

本書では、インターネットやソーシャルメディアの活用に焦点を当てたマーケティングとして、ソーシャルメディア・マーケティングを紹介します。この言葉は、みてのとおり、2つの言葉からなっています。「ソーシャルメディア」と「マーケティング」です。

まず、ソーシャルメディアとは、フェイスブックやツイッター、LINE、動画サイト、ブログやウィキペディア、さらにはアマゾンやトリップアドバイザーなどのカスタマーレビューや口コミサイトなどを含みます。その最大の特徴は、インターネット上で人々が自由にインタラクションする場だということです。

一方で、マーケティングとは、顧客の必要に応え、よりよい社会を創り出すための諸活動です。口コミを期待することはもちろんマーケティングの一活動ですが、大事なことは、それによって顧客の必要に応え、よりよい社会が創り出されているかどうかです。

ソーシャルメディアとマーケティングは、密接に結びついています。顧客の必要に応えようとするのならば、インターネットやソーシャルメディアに集まり、さまざまにインタラクションする人々の存在を無視することはできません。

デジタル時代が到来し、人々の生活も大きく変化しています。しかしながら、マーケティングの本質が変わるわけではありません。むしろ、今まで以上に、顧客の必要に応え、よりよい社会を創り出すことが重要になっています。マーケティングがその本質を見失わない限りにおいて、人々が集まる場としてのソーシャルメディアは重要な存在でありつづけます。逆に、マーケティングがその本質を見失うのならば、ソーシャルメディアはマーケティングに対立し、企業にとって恐怖の存在になります。

本書は、ソーシャルメディアとマーケティングに興味のある方々を対象に書かれています。ソーシャルメディア・マーケティングの考え方は、消費財企業(B to C企業)はもちろん、産業財企業(B to B企業)においても、公共・非営利組織においても、企業の規模にかかわらず、同じように有用です。特に、取引相手である顧客に対して、これまでも営業などを通じて密な関係性を構築してきた企業にとっては、そうした関係性がデジタル時代になりますます重要になっていることに気づくでしょう。

顧客の必要に応え、よりよい社会を創り出すため、顧客を知るということ(第3章)、顧客に伝えるということ(第4章)、顧客と繋がるということ(第5章)、顧客とともに価値を創り出すということ(第6章)。そしてもちろん、これら4つの活動を実際に計画・実行し(第2章)、成果を測定して絶えず改善していくということ(第7章)。これらソーシャルメディア・マーケティングの実践は、今日のすべての企業や組織がデジタル時代を生きるために目指すべき姿です。

本書の執筆にあたり、研究者の方々や、実際にソーシャルメディア・マーケティングに携わる多くの方々にご協力をいただきました。一人一人の御名前を挙げるには紙幅がありませんが、改めまして心よりお礼申し上げます。また、2017年に行われた日経・企業行動カンファレンスをきっかけとして、本書の企画段階から出版に至るまで、日本経済新聞社の細谷和彦氏には編集作業はもとより進捗管理に至るまで大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

水越康介
2018年5月


2018年05月10日 | Posted in エッセイ | | Comments Closed 

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