かまど

先日ご当地の美味しい食べ物といった話をテレビをやっていて、一人でボーとしながら見ていると、香川県の「かまど」が紹介されていました。あーこれ美味しいよねと思ったところで、数日後に家でみんなにその話をしました。

「かまど紹介されていたよ、おいしいよね、あれ」。というと、うちの子がいうには「何それ?」とのこと。「いやいや、何度も食べたことあるでしょう。高松のおじいちゃんおばあちゃんのところにあったりするやつ。」

いや知らん、というので、今度買ってくるから見ればわかるよという話で終わりました。知ってると思うのだけど。

さらにしばらくして、「かまど」が届きました。「これこれ、知ってるでしょう」と聞くと、「あーこれね。みんなで食べたわ。」ということで、ようやくわかったようです。よかったよかったと思っていると、「へーこれで「かまど」って読むんだね」という。

「?なんのこと」と聞くと、このマークとのこと。「いや、それは字じゃなくてかまどの絵じゃないあかな」というと、再び「へー」とのこと。「このお菓子、ずっと「こ」っていうのだと思っていた。」

「!?あー。そういうこと。。。(カタカナの「コ」だと思ってたのね)」

こちらは逆に、最初からかまどだと思っているのでかまどの絵として認識していたわけですが、子どもにとっては、カタカナの「コ」だと認識されているのでかまどにも見えないし、お菓子の名前もそれ以上に考えていなかったと。まあ、そういうこともあるかもしらん。

ブランドですねと思った次第でした。この世界の数あるお菓子のほとんどは、名も無きお菓子です。もちろん何か名前はあるのでしょうけれど、ほとんど誰にも知られず、お菓子の一つにすぎない。それに対して、コの場合、うちの子にはすでにそのお菓子の経験があり、いろいろなイメージが出来上がっている。ここでは、すでに数多あるお菓子とその経験ではなく、「コ」という固有名に結び付けられた記憶があるという点で、ブランド化しているとも言えます。

でもそれは、あくまでうちの子の頭の中でだけ完結していて、基本的には共有できないままにとどまっている。一方で、僕たちが持っているイメージは「かまど」に結び付けられていて、こちらはより一般的に広く知られ、まさにブランド化している。テレビのようにより広く共有できる。別にそのお菓子がかまどであろうとコであろうと、どちらの名前でも良かったけれど、それが流通してしまえば、そちらに価値が生じる。みたいな感じかなと。。。

そんなこと言わずにとりあえず食えよということです。


2022年11月15日 | Posted in エッセイ | タグ: Comments Closed 

関連記事