システマチックレビューとANTなど
ここの所、いくつかの研究会でなるほどと思ったりしていまして、備忘録1。
件のチュートリアルセッションで東先生、横山先生からシステマチックレビューのお話を伺いました。システマチックレビューとは、論文のデータベースが揃ってきていますので、キーワードで一括して関連論文を取りまとめ、目的に合わせて取捨選択し(ここでいろいろ。。。)、残った論文を定量的であったり定性的であったり分析することでこれまでの研究を綺麗にまとめる方法です(あくまで個人的なイメージです)。
質疑の際に、芳賀先生からは、どのように取捨選択すればいいのかという点について、主要ジャーナルからどこまで広げるか、さらには非関連領域にまでどこまで広げるかという話がありました。グリーンウォッシュのようなキーワードの場合、理論というよりは現象的でもありますので、対象領域は相当に横断的になるわけですね。これは、まあ目的次第の軸でという話でありました。そしてこれに合わせて考えるべき軸はいくつかあり、年代なども重要になるという話でした。
それから山下先生からは、考えてみればこれ自体がアクターネットワークセオリー的な視点であったり、あるいは分析できるのかもという話がありました。確かにこれは大事かもと思った所でした。いくつかの方向性がありそうですが、一つには、システマチックレビューを通じて、論文やキーワードの広がりを特定することができますので、この広がりや広がり方を分析するということを想像します。
おそらく周知の通り、ラトゥールの初期の定番書籍『科学が作られているとき』では、科学が研究対象となっており、論文の広がりは典型的なANTとして捉えられます。そういえば、何年か前に、この内容をSNSにも応用できるという論文を書いたので宣伝がてら(Mizukoshi & Mari, 2024)。
“They all manage to do the same carving out of the literature to put their claims into as favorable as possible a state. If any of these operations is taken up and accepted by the others as a fact, then that’s it (Latour, 1987, p. 40).“
なんにせよ、論文は自らが生き延びるために科学者を動員し、別の論文を切り張りすることで相手を事実として確定しつつ、自らも引用され続けようとすることを繰り返して自己増殖していくわけですね。システマチックレビューは、こうして作り出されたアクターネットワークを具体的に可視化させる方法であり、分析を可能にすることになります。
と思ったところで、あるいは、これはオルタナティブなのかもと思ったりしました。もともとラトゥールが念頭に置いていたのは伝統的な論文産出のプロセスであり、引用にもとづくネットワークです。これも現代では緻密に分析することが可能ですが、最初の質問でもみたように、システマチックレビューによるレビューはキーワードを用いることによって、伝統的で引用で繋がれたネットワークとは別のネットワークを作り出す可能性があります。
これはすなわち、元祖ANTから見えなくなっていたり隠されていたパラレルワールドの分析にもなるのかも。その意味では、主要ジャーナルなどで絞り込んで伝統的なレビューの上位互換を目指すよりも、積極的に横断的にやってみた方がいいかも。もちろんそれは、改めてANTの良い研究対象なのかもです。
すでにそんな研究もあるのかもと思いつつ、データ上は、まずキーワードで抽出し、その上で引用文献の矢印をまとめていけば良いのかもと思いつつ、まあこの辺りで。










