遠足は行くまでが一番楽しい

マーケティングに優れたサービスの一つに、ディズニーランドがしばしば挙げられます。日本のディズニーはもとより、本場アメリカのディズニーランドともなると、規模も大きく、場所柄もあり、子供でなくても楽しめます。

Florida, OrlandoにあるWDWに行く場合、その広さからして日帰りは難しいところです。近くにホテルをとるか、あるいはワールド内のディズニーホテルに泊まることになります。当然、予約をする必要があるわけで、今であればネットで予約が取れます。

予約をするということが意味するのは、ディズニーにとっては、いつ誰が来るのかを知るきっかけになります。この情報は、おそらくこの手のサービスにとって、とても大事なことです。なぜならば、「遠足は行くまでが一番楽しい」からです。いやもちろん、行ったときも楽しいわけですが、これは大事なことです。

ディズニーホテルの予約をすると、ディズニーから定期的に連絡が来ることになります。「あと60日ですね。」「今日からファストパスを選べますよ。」「荷物に貼っておくタグを送ります。」「いよいよですね、忘れ物はないですか?」メールでの連絡はもちろん、しっかりと個人名が書かれた案内状?まで定期的に郵送されてきます。いやがうえにも期待は高まります。特にディズニーがうまいと思うのは、あまりしつこさを感じないというところです(個人差があるかもしれませんが、ここがノウハウなのかも)。スパムという感じもない。

もし、予約を入れる必要がないサービスを提供している場合、この「遠足は行くまでが一番楽しい」過程に入り込むことはできません。そこはただ純粋にその人だけのものです。けれども、特にサービス財の場合には、プロセスの管理が重要になるといわれます。サービス・マーケティング・ミックスによれば、サービス財は形もないため、通常の物財以上の配慮が必要になるわけです。その一つがプロセスの管理です。遠足に行くまでを射程に収めるディズニーのマーケティングは、なるほどと思った次第でした。

ディズニーがサービスを瞬間的なものではなく、一連のプロセスとして捉えていることは、例えば、ソロモンの『消費者行動論』のテキストにも記載されています。

「ウォルト・ディズニー社は携帯電話がテーマパークでの経験を高めることに期待している。ウォルト・ディズニー・ワールドでコメディショーの列に並んでいる人は、テキストメッセージでジョークを送ると、これから見るショーの中でそれが使われるかもしれない。重役の1人はこう説明した。「ショーにとって必要なウォームアップの働きをするとともに、待ち時間にも客を楽しませることもできる」(第9章、ネット上のコラム)。」

意識せずに読んでいるとへーそうなんだというだけですが、サービスとはどういうものであるのか。その満足はどうやって決まるのかということを考えてみると、彼らの周到なマネジメントがみえてくるように思います。ちなみにたぶんこれ、Monsters, Inc. Laugh Floorのことかなと思いました。CGアニメのコメディショーなのですが、インタラクションで観客とやり取り(客いじり)するのがすごい。どうやっているのかよくわかりませんでした。アニメに見せかけて実際に声優がいるのか、あるいは、観客がサクラ?ではないでしょうし(笑

ちなみに、ホテルに着くと、噂に聞いていたマジックバンドがもらえます(アメリカ国内であれば、事前に郵送されてくる)。これ、2013年に導入されたというハイテク機器ですね。部屋の鍵や入場パスの代わりはもちろん、あちこちでスタッフが撮ってくれるデジタル写真を後でまとめてダウンロードできる(もちろん有料ですが)。


~ディスニーワールドの新サービス「マジックバンド」、今春にもRFIDチップを活用した「MyMagic+」システム導入へ~

今のところディズニーの外に出てしまうと役に立ちませんが(アクセサリーとしてはもちろん使えますが)、何となくやりたいことはわかるような気がします。ネットや、こうしたデジタル機器はユーザーとつながっている状態を作るのに都合がいい。ディズニーに行く前だけではなく、もちろん行っている時だけではなく、日常においても、うまく関係性を構築維持し、また時に働きかけられるようにしておくというわけです。

いや、よくできているなと改めて思った次第でした。

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