【書評】伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす

こんにちは。3年生の勝元です。

今回は、一週間ほど前に図書館の新書コーナーでたまたま見かけた書籍についてご紹介しようと思います。

小沼竜太(2020)『伝え方は「順番」がすべて 分単位のコミュニケーションが心を動かす』光文社.

画像:https://www.amazon.co.jp/伝え方は「順番」がすべて-分単位のコミュニケーションが心を動かす-光文社新書-小沼竜太/dp/433404493X

著者の小沼竜太氏は、経営学者や経済学者というよりも「現場の人」といった経歴をお持ちの方です。”ゲームの宣伝屋”として「ペルソナ」「真・女神転生」シリーズや「Fate/Grand Order」など、数多くのゲームタイトルのプロモーションに携わったそうです。(裏表紙の紹介文より)

この著書の内容をまとめると、

①インターネットが普及した現代において、既存のマーケティングにおける「ターゲット」は意味をなさない

②商品の構造や文脈からテーマを理解し「何を伝えるのか」を決める

③爆発的に情報が拡散されていくことから、コンテクストは刻一刻と変化するため、「今この時点で」何を伝えるか(=伝える順番)が重要となる

ということだと思います。思います、というのは、私がこの書籍の内容をきちんと理解できている自信がないからです。特に印象深かったのは①のターゲットについてで、「新規・既存」「性別」「年齢」などの属性によるターゲットという概念はマス・マーケティング*のロジックとして誕生したもので、これらはインターネットの普及以降コミュニケーションの相手を考える概念としては不十分なものとなった、と言います。それよりも、受容者(発信する情報に興味を持ち、好意的に受け入れ、拡散してくれる人)を探すことが重要で、ターゲットを絞り込んでいくのは具体的なアクションの定義の時で良い、と。

* 本書では「マス・マーケティング」とされていますが、文脈的に「マスメディアしか情報伝達手段がなかった頃のマーケティング」くらいの意味合いかもしれません。

まず誰に何を伝えるかが決まらないとマーケティングは何も始まらないと思っていたので、この記載がある第一章を読んで私は面食らいました。ただ、読み進めていくうちに、この著者の指す「ターゲット」という言葉の定義がよくわからなくなってしまいました。「商品を購入してほしい人」なのか、「受容者であり、施策の時点で最初に話しかける人」なのか。

また、著者の実体験を踏まえた具体例とともに上記①〜③の解説をされていますが、その具体例から他の事例に応用できるビジョンがあまり浮かびませんでした。私の読解力が不足しているのかもしれませんが、なんとなく理論の抽象度と取り上げた例の具体性が噛み合っていない(理論が極めて抽象的なのに対し、唯一紹介されている事例が具体的すぎる)ように感じられました。

ただし、第一線で活躍されている方なだけあって、インターネットやその情報の広がり方のイメージは的確なのだろうことが伝わりました。意図しない層にも情報が渡りやすいこと、発信した情報がアーカイブとして残ることに注意しながらのプロモーションなどは、ゲーム業界に限らずどの企業でも参考にすべきだと思います。

ともかく、私には少し難しい著書だったようなので、この書籍を読んだことのある方、あるいはこの記事で興味を持って読んでみようと思った方は、ぜひ解説をしてくださると幸いです。

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