成功事例であろうと失敗事例であろうと

職業柄、いろいろ事例紹介をします。基本的に成功事例が多く、この会社は環境問題に率先して対応してますねーとか、うまく売上にも結び付けてますねーみたいなことをいいます。聞く方も慣れたもので、理論的な話はさておいて、具体的な事例何かありますかと聞いたりします。そうですねー、こんな感じとかですね、と話したり。

より慣れた?人になると、なぜか今度は失敗事例はありますかといい始めたりしします。そんな簡単に成功するわけないだろうと思うのかどうか知りませんが、失敗は山ほどありますよねーという感じになったりもします。変な論理をつけた人だと、成功は個別要因だが失敗は一般要因だからと言ったりして、一体全体どういうことなのだろう???と思ったりもするわけですが、まあそういう側面もあるんですかねーといえばそれはそれで盛り上がる話ではあります。先に、「成功要因は個別で、失敗要因は一般的か」でも少し書きました。

どちらでもよいことです。成功事例も知れば良いし、失敗事例も知れば良い。大事なことは、どちらがより有用かではなく、どちらでも同じように学べるということです。なんで成功したのだろう、なんで失敗したのだろう、それぞれ考えればいいです。比較すればより良い。

その上で重要なことは、あなたならばどうするのか、どうしたのかということです。当然、この場合には成功事例の方が役に立ちます。どうすればいいのか、一つの模範が紹介されているからです。しかし同時に、考えるべきなのは、もっと良い成功のために、あなたならばどうできるのかということです。その意味において、成功事例は特に成功事例ではなく、模範解答を含んだ事例ということです。

この点において、失敗事例は、より難易度が高い事例となります。そのままでは失敗しているというわけですので、成功に向けて、あなた自身が全てを考える必要があります。また、成功事例に比べ、失敗事例の方が状況として悪いことが予想されますので、その中で解決案を考えなくてはいけません。もし、失敗事例を知りたいという人が、こうしたより難易度の高い問題に挑戦してみたいと考えているのであれば、それは大事なことだと思います。

これはいわゆるケースメソッドです。もちろん、私たちは成功の要因や失敗の要因も知りたいわけですが、なぜ知りたいかというと、それを自分たちの置かれているビジネスの現場で生かしたいからです。知っているだけではなく使えるようになることが大事そうです。


2023年11月02日 | Posted in エッセイ | タグ: No Comments » 

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