ジャニーズなんとか

色々と世間を賑わせている今日この頃。小学校か中学校の東京修学旅行の帰りのバスで、女の子が同社の本社を見れたのが最大の収穫と言っていたことを覚えています。なんだそれはと思ったわけですが、いよいよそれからどんどんと成長していきました。今回の件からすればよく今までやってこれたなと思う一方で、相当パワーを持つに至っていたのだなと改めて思っております。ビジネスという点でいえば、大きく2つの点が重要です。

第一に、いわゆる忖度が非常に効いていたということです。取引依存度があまりに高くなっていたことが考えられます。取引依存度を高めることは戦略の基本であるとともに、取引する相手側としては、一社への依存度を下げることが求められます。昨今のテレビ番組では、同社のタレントが数多く出演するようになっていました。似たようなタレント企業は他にもあるように思いますが、テレビ局側は、依存度を下げる戦略に失敗し、一方で同社は成功してきたということになります。

第二に、これほど取引依存度が高まったそもそもの理由として、最終顧客から高い支持を得ることに成功し、強固なコミュニティを形成してきたことが挙げられます。どんなにテレビ局が取引依存度を下げようとしても、そうすることが最終顧客を失う理由となるのならば、その選択を取ることは困難です。CMを作っていた企業なども同様でしょう。同社のタレントを起用することは、そのタレントを支持するファンにアプローチできるということです。最終顧客の存在は、イノベーションのジレンマのように、別会社のタレントの採用を阻止するでしょう。その点では、こちらも取引依存度の問題として考えることができるかもしれません。

ネットニュースなどの記事を見る限り、依然として最終顧客の支持は強いとされています。タレントに罪はないという指摘も、最終顧客の支持の強さを反映しているでしょう。これに対して、企業やテレビ局の側がどのように対応できるのか、あるいは対応するのかということは、マーケティングとして考えるべきテーマです。すなわち、環境問題や社会問題の解決に際しては、例えばタバコを吸いたい人にそれを止めさせるといった行動変容が求められるわけです。

これに関連してもう一つ重要なことは、この問題は私たちが子供の頃から続いてきた日本全体の問題だということであり、私たちにもそれぞれ責任があります。基本的に知らず知らずかもしれませんが、片棒を担いでいたわけです。同時に、個々人はもちろん、業界でも抗う術はあまりなかったでしょう。国を挙げて対応しても良い事案であり、これもまたマーケティングのテーマであります。


2023年09月27日 | Posted in エッセイ | | No Comments » 

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