推しのためなら【オタクジム】

3年の町田です!

私事ではありますが、来月に部活の引退試合を控えているので、最近は練習と減量のための運動・食事制限の日々です…。辛い…。

今回はそんな私が興味を持った、とあるジムについて紹介したいと思います。通称・【オタクジム】です。

株式会社クララボが2021年7月1日に、業界初・オタク向け女性パーソナリティトレーニングジム「Clara(クララ)」をオープンしました。アニメや漫画、ゲームなどのあらゆる二次元のオタク趣味を持つ女性が、日々「趣味」や「推し活」を全力で楽しめるように、という想いで創られました。内装も一般的なジムとは異なり、アニメキャラのフィギュアやポスターがそこら中にあります。

このオタク女性向けジムに関して、マーケティングの観点から”面白い!”と思った点がいくつかあります。

まずは顧客の設定についてです。Claraでは「女性かつ、二次元のアニメや漫画などを推しているオタク」といったセグメントをターゲットにしています。

顧客をセグメンテーションする際には、性別・年齢などのデモグラフィクス特性と、ライフスタイル・価値観などのサイコグラフィクス特性によって大別することができます。前者は測定がしやすく使い勝手が良い反面、それだけでは顧客の消費行動を表面的にしか理解できないといったデメリットがあります。

Claraでは「女性」というデモグラフィクス特性と、「二次元オタク」というサイコグラフィクス特性を掛け合わせたセグメントにターゲティングすることで、より具体的な施策を以て集中型マーケティングができると言えます。

 

そしてClaraは、その限られたセグメントの顧客の特徴やニーズを上手く汲み取って、以下のようなマーケティングを展開しています。

Claraは池袋に2店舗構えています。一般的に「オタク」と聞いて秋葉原をイメージする人は多いでしょう。しかし秋葉原はどちらかというと男性のオタクに向けた店や施設が多く、女性のオタク向けの店は池袋の方が圧倒的に多いです。こうしたターゲットが多く集まる立地で店を構えることで近隣での宣伝も行いやすく、集客も見込めると考えます。

また一言に「推し活」といっても、漫画やアニメやゲームを見る・するだけでなく、好きなキャラのイラストを描いて同人本を販売するオタク。好きな漫画の舞台を観に行くオタク。好きなキャラのコスプレをするオタク…というように、オタクの推し方は様々です。

それに伴い、「推しキャラに好かれるような体型になりたい」「漫画を描くとき長時間同じ態勢をとるから体が痛い」「コスプレをするから推しのように細くなりたい」…というようにオタクの悩みも多様です。

Claraではそうしたオタク女性の悩みを理解し、解決するため、トレーナーも全員「オタク女性」です。

日本のオタク文化が発展した今でも、「二次元オタク」という言葉にはネガティブなステレオタイプ、極端な場合ではスティグマ(「異端」「非常識」と思われた人が差別や偏見を受ける状況)が与えられることを恐れる人はいます。こうした理由から、一般的なパーソナルジムでは恥ずかしくて相談できない悩みも、Claraでは気軽に相談でき、推し活に合わせたトレーニングメニューを組むことができます。

 

Claraのオタクジムをマーケティング的観点から見てみましたが、いかがでしたでしょうか。今回は「二次元オタク×女性」、というセグメントでしたが、オタクのジャンルは多様なので、他のセグメントに向けたジムが展開する余地もありそうですよね!

【参考】

【業界初】オタク向け女性専門パーソナルトレーニングジム (claragym.com)

池袋オタク向け女性専門パーソナルジム【Clara】(@claragym_group) • Instagram写真と動画

松井剛、西川英彦『1からの消費者行動』(中央経済社、2016年)