研究の方法についての若干のアイデア

ちょっと忙しくて書くネタを思いつくこともなかったので、別途ぼんやり考えていたアイデアを少しまとめておくことにする。一応、マーケティング分析の範疇に入るだろうか。

2011年に反響のない本をまとめたとき、研究の方法として、事例研究とケースメソッド(ビジネススクール)の接続のようなところを書いた。その後、2014年にもう少しビジネスよりのリサーチの方法を少し書いたとき、ZMET、内観法、それからオブザベーションを紹介した。

実は後いくつか、ぼんやりと関連しそうな研究の方法があり、これらはいずれもそのままになっている。アクションリサーチ、ワークショップ、それから当事者研究である。これらがどう関連しているのかはよくわからないのだけど、いくつかの共通点はあるのだろうと思う。

2011年との関連で言えば、研究の方法として、理論的な話と実務的な話をうまくリンクさせるような(それは通常の意味での、仮説の正しさを経験世界で検証するという類いの意味ではなく)、そういうものだろうと思う。2014年との関連で言えば、より実務的な方法として、新しいものをうまく発見できたり、みんなで共有できるような、そういう方法なのかなと思う。

一昨年あたり、一番議論しやすいと思っていたのは当事者研究であり、ビジネススクールとのはまりがいいと思っていた。実務の方々がわざわざビジネススクールに来て、修士論文を書くとすれば、それは多分当事者研究に近くなる。その時、研究としてどういう新しさが得られるのだろう。元々の当事者研究は、精神障害者支援の中で生まれた方法であり、彼らが自身の症状を研究する。その目的は、問題の解決ではないとされ、問題を外在化させつつも、引き寄せて抱えなおすことが重要だと言われる。ビジネススクールの多くの修士論文でも、求められているのはそういうことのように感じる。


正直ここで止まっていたのだが、たまたまこのところアクションリサーチの論文を読んでいて、もう半歩ぐらいうまく考えられるような気がした。なぜか引用されていたハーバーマスの『認識と関心』によれば(といっても、読んでみてもそう書いてあるかどうかよくわからなかったのだが)、解放的利害は3つの方法の一つとして位置づけられる。この位置づけは、意外にも、僕も当事者研究がそうかなと思っていたことだった。似たようなことを考えている人がいるとすれば、やっぱり、アクションリサーチと当事者研究は同じような方向で捉えられそうだと思ったのだった。ビジネススクールと事例研究もこのラインで押さえられる、はず。。。

ただまだ、具体的になにが新しくわかるようになるのかがはっきりとしない。たぶん、この答えがわかれば、旧来の2つの方法の限界をうまく補完できるようにもなるのだろうけれど。もう少し実際にやってみながら、考えてみる必要がありそう。