午後の紅茶×ポッキープロジェクト「ブランドのコラボは何をもたらすか~午後の紅茶×ポッキーが4年続く理由~

こんばんは。3年の飯島です。今回は、書評にチャレンジしてみたいと思います。

今回ご紹介する本は、午後の紅茶×ポッキープロジェクト編著『ブランドのコラボは何をもたらすか~午後の紅茶×ポッキーが4年続く理由~』(宣伝会議、2018年)です。

午後の紅茶 ポッキー コラボ に対する画像結果

まず、皆さんはこのようなコラボ商品を知っていますか?この商品は、午後の紅茶×ポッキープロジェクトの第1弾で2015年に発売されました。午後の紅茶とポッキーを隣に置くことで絵が完成するだけでなく、一緒に食べることでアップルパイの味になるというコラボ商品です。

今回ご紹介する本は、このコラボプロジェクトの始まりから、第1弾・第2弾・第3弾そして今年第4弾と4年間も続いている成功要因について実際にプロジェクトのメンバーだった方々が紹介しています。

まず、このプロジェクトメンバーはターゲットである20代~30代女性で構成されました。そして、世の中にあふれる「女子向けの商品」を反面教師にしながら、メンバーが1人1人の女性として「女性が幸せを感じる瞬間」について考え互いのブランドを越えて議論していき、商品化しました。

この本で1番印象に残っているのは、プロジェクト成功要因の1つでもある「消費者の遊び心をくすぐる「余白」を残したコミュニケーション」です。「余白」とは、消費者に能動的に活動してもらうよう働きかける一方で、押しつけがましくないちょうどいい距離感だと思ってもらうのに必要なものです。午後の紅茶とポッキーはコラボしているとはいえ、2つの商品であることに変わりはありません。つまり、消費者が2つとも購入し、かつ合わせて食べるという消費者の能動的な活動を期待しなければコラボ商品にならないのです。その「余白」とは上の写真の場合、王子様とお姫様の組み合わせを自由に与えたり、イラストをシルエットにして「匿名性」としたり、広告などで緻密な情報をあえて与えなかったりしたことで消費者に任せました。これにより、消費者の発想力を掻き立てることにつながり、余白を生かした遊びがインターネット上で話題となりヒットにつながりました。このように、あえて商品の全貌を明らかにしないことで消費者が興味をもち「試してみたい」と思わせることで成功したのだと思いました。

私は今までコラボというと、人気ブランドのコンテンツ力を借りたものやお互いの名前を交換し合うものをイメージしていました。しかし、この本を読んでお互いのブランドイメージを尊重しつつ、新しい商品を作るというコラボの形があることを知り驚きました。私がまだ気が付いていないコラボ商品の形はたくさんあると思うので、これからたくさん知っていきたいと思いました。

濱長一彦『やめるを決める~そして私は社長になった』

新3年の福田です。

先日本を読んだので書評をしたいと思います。

今回ご紹介する本は濱長一彦著『やめるを決める~そして私は社長になった』(宝島社、2014年)です。

タイトルと帯に書かれていた紹介文に興味を持って読んでみました。

この本の著者、濱長一彦氏は、大塚倉庫株式会社の代表取締役社長です。濱長氏は大学卒業後の91年、大塚倉庫に入社します。以来、物流会社の営業畑一筋に歩み、2010年6月に取締役待遇経営企画部長に就任。この本は、そんな濱長氏が翌11年6月に新社長に就任した大塚太郎代表取締役社長(現会長)の新方針に戸惑いながらもともに経営改革に取り組んでゆく奮闘記です。

物流業界はおろか、一般企業の業務についてもよく知らない私ですが、その中でもいくつか印象に残った箇所があります。そのうちの1つをご紹介します。

それは、物流業界の売りは低コストであると疑いもしなかった営業部のメンバーが、大塚倉庫ならではの強みを見つけ、これまでの営業や顧客との取引をやめ、マイナスから創り上げていく場面です。ビジネスをするうえで、自社の製品をよく知り、ターゲットを明確にしたうえで取引を行っていく重要性を改めて実感しました。先入観にとらわれてしまうことは多いですし、一度当たり前になってしまうとそこから抜け出すことは難しいものです。同時に、就職活動も自分を企業に売り込むという面では似ているのかもしれないと思いました。また、ただ新しい戦略を考えるのではなく、それをいかに継続していくか、という視点も大切なのだと学びました。何か新しいことをやろうとする時、ひとつ作戦を立てて成果を得たらそれで満足してしまいがちですが、ビジネスはいつまでも続けていくことが必要です。ターゲットはこのままでよいのか、顧客は次に何を求めているのか、利益をさらに得るにはどうしたらいいのか。そのようなことを常に考え続けることが重要ですね。

春休みが終わり、なかなか本を読む時間と気力がないですが、学生のうちにたくさん知識を身につけたいと思います。この本の中で紹介されていた「わが経営」もいつか読んでみたいです。

永井孝尚『そうだ、星を売ろう』

こんばんは、3年の領家です!
今回は書評に挑戦したいと思います。
ご紹介する本は永井孝尚著『そうだ、星を売ろう』(KADOKAWA、2016年)です。最近1番気になっていた本をこの機会に買って読んでみました。永井孝尚さんは有名な『100円コーラ』シリーズも書かれていました。
 
この本は長野県下伊那郡阿智村で取材したエピソードに基づき、著者が書いたフィクションでしたが、分かりやすいように工夫されていて読んで面白いし、ためになりました。
ではまず本の概要です。
主人公の諸星明が、あることをきっかけに衰退する温泉郷の立て直しに挑戦しようとします。しかし周囲は無関心で、悪戦苦闘してしまいます。考え、調査し、分析した結果、この温泉郷の強みは温泉ではなく、日本一の星空にありました。過去の成功体験が忘れられない反対派もいる中で、諸星と数人の仲間で始めた挑戦は「ディズニーを超える」こと。目標に向け、「売れない時代」の新しいビジネスモデルを創りあげていく物語です。地方創生マーケティングがテーマの内容となっています。
この本の中で印象に残ったことはまず、「当たり前のものが強みに変わる」という点です。阿智村は温泉郷としての印象が強く、これから地域を盛り上げていくためにも温泉郷ならではのものを違う形で売り出していけばいいのではないかという考えがありました。しかし、自分達が何気なく綺麗だと思っていた星が新しい商品として売り出せるという発想は、マスツーリズムから地域主導のニューツーリズムへの時代の変化が大きく影響しています。
そして、この本の中では、ジョン・コッターの「変革を推進するための8段階のプロセス」に沿って、地方創生を推進することができました。
変革で起こりがちな8つの間違いと比較しながら説明されていたので、失敗例を学びながら成功に導くプロセスを理解できたと思います。
地方創生を推進することを学べるだけでなく、新たな市場を開いたり、価値創造に取り組んだりすることも学べる1冊でした。
ちなみにこちらが本にも出てくる日本一の星空ナイトツアーを行っている「スタービレッジ阿智」のHPです。本を読んでからこのHPを見ると、HPの充実さに感心します。

書評難しいですね、、精進します、、、

ヘンリー・ミンツバーグ『私たちはどこまで資本主義に従うのか』どこまで?


ヘンリー・ミンツバーグ『私たちはどこまで資本主義に従うのか―――市場経済には「第3の柱」が必要である』、ダイヤモンド社、2015。

先にコトラーの「資本主義に希望はある」を読んだ上で、もう一つ一緒に買っていた本、「私たちはどこまで資本主義に従うのか」(原著名は、Rebalancing Society)を読み始める。分量からいえばずいぶんと軽めで、簡単に読めそうだ。と同時に、著者はヘンリー・ミンツバーグ。こちらは戦略論の大家である。コトラー同様、社会にひとこと言いたいのだろうか。そういえば、どちらの書籍も、ダイヤモンド社から発売されている。社会にひとこと言いたいのは、出版社の方かもしれない。

コトラーと同じかもしれないが、冒頭のキレは鋭い。少し長いが引用しておこう。

「1989年、東欧の共産主義体制が倒れはじめたとき、西側諸国の有識者たちは安易な説明に飛びついた。資本主義が勝利したーそう主張したのである。しかし、それはとんでもない間違いだった。その誤解がいま大きな不幸を生み出している。
 1989年に勝利を収めたもの、それはバランスだった。共産主義体制の国々は、政府セクター権力が過度に集中し、著しくバランスを欠いていた。…その後、多くの(西側諸)国でバランスが失われていった。民間セクターの力が過度に強まったのである(4頁)。」 

資本主義そのものがもたらす問題というよりは、この整理により、本当の問題は民間セクターが強くなりすぎたというアンバランスにあることになる。そういえばフランシス・フクヤマが何度も批判されている。そして、その解決として、「多元セクター」と称されるNPOや第三のセクターや市民社会と呼ばれてきたような新しい第三極の促進が必要であると指摘される。コトラーの本が主に課題提示だけにとどまっていたのに対し、ミンツバーグの方はわかりやすい方向性を提示している。


 

この構成により、ミンツバーグの批判の対象は、強くなりすぎた民間セクターと、弱くなりすぎた政府セクターへと向けられることになる。コトラーが解決の方法を明示できなかったのは、企業と顧客の不可分な結びつきに留意し、マーケティングらしくあろうとしたせいかもしれない。これに対して、ミンツバーグは問題の所在を変更することで、よりキレのある展開を可能にしている。戦略論らしいといえるだろうか。

企業に対しては、例えばCSRが批判される。「『社会にとって好ましいことをして、利益をあげている』企業は、もちろん称賛に値する。…しかし、この種の取り組みが産業界全体に広がって、利益の追求と社会問題の解決が両立する『ウィン・ウィン』の世界が到来するなどとは、期待しない方がよい(94頁)」。一方で政府セクターに対しては、例えばNPMが「古くからある企業経営の手法」として批判される。「政府の活動のほとんどは、ビジネスのようにマネジメントできないからこそ、政府が担っているのだ(152頁)」。

ミンツバーグが強調するのは、要するにバランスである。それぞれがそれぞれの役割を果たし、力として拮抗する。その上で、2つの対立ではバランスが取りにくいことがわかったのだから、多元セクターの育成が今求められているというわけである。同時に、それゆえに多元セクターが将来的に強まりすぎることも望ましくはない。ポピュリズムの弊害が大きくなる可能性があるからである(78頁)。 

そんなに批判したいポイントもないのだが、逆にいえば、大体は読まなくても見えてしまうという感もある。本を書くのは難しい、と人事のように思いました。


フィリップ・コトラー「資本主義に希望はある」?


フィリップ・コトラー『資本主義に希望はある―――私たちが直視すべき14の課題』、ダイヤモンド社、2015。 

コトラーといえばマーケティング。マーケティングといえばコトラー。それなりにマーケティングを勉強したことがある人ならば、一度は聞いた名前だろう。いろいろ言い方はあるけれど、本書での紹介を借りれば「近代マーケティングの父」である。

マーケティングが専門とはいえ、大御所にもなればいろいろと社会や経済全体に向けて一言もあるだろう。本書のタイトルは壮大である。「資本主義に希望はある 私たちが直視すべき14の課題」、英語の主題はConfronting Capitalismで少し違うが、一体全体どういう話なのか、コトラーを知っていればいるほど気になる。どんな希望があるのだろう。そして、14の課題とは?

冒頭の一文は、マーケティングに詳しい人であればあるほど刺激的に違いない。「…マーケティングは市場の輪郭を決め、市場に強い影響を与える。これまでの経済学者は、マーケティングのそのような役割と力を見逃してきたと私は思う。マーケティングは資本主義社会の根底をなす概念の一つなのだ(12頁)」。期待は高まる。

だが、結論を先取りしてしまえば、この後は正直なところ冴えない。最初に取り上げられる課題は、貧困問題である。確かに、今日の資本主義にとって、貧困問題は極めて重要なテーマとなっている。それは確かなのだが、だからこそ、マーケティング研究者であれば、貧困問題に対しての定番的なアプローチの視座がいくつもある。例えば、第二次世界大戦より前には、すでに「新たな市場」としての貧困者層が語られてきた。また、その昔を知らずとも、社会の変革を目指すソーシャル・マーケティングといえば、そもそもコトラー自身によって先導されてきた経緯もある。

こうした読み手の期待をあえて無視するかのように、マーケティングは語られない。そして貧困問題の最後の頁で、「ソーシャル・マーケティングの手法を使うべきだ(48頁)。」と唐突に語られる。だが、それがなんであり、どういう解決が可能なのかは示されないままである。後段にもっと大きな答えがあるのだろうか。

次に出てくるのは、格差の問題であり、日本でも話題になったピケティが登場する。コトラーの立場は、基本的にピケティ支持のようだ。それ自体はもちろん悪くないのだが、やはり最後になって次のように語られる。「本当の難題は、スーパーリッチ層がより高い税金を払えば、一般大衆だけではなく彼ら自身にとってもメリットが生まれると納得させることだ(95頁)」。そのとおりである。そしてそのために、ソーシャル・メディアの手法を使うべきだということになるのだろう。けれども、一体全体、それはなんであり、どうやって行われるのだろう。貧困の時と同じ疑問だけが残る。もう少し次に続くのだろうか。

 

この後、労働者は搾取され、機械によって仕事が奪われていくことが語られる。大事な問題だが、やはり課題はあっても答えがない。まだ10個も話題があるのだから…とは思いながらも、段々と不安が大きくなる。機械のところで肩すかしだったのは、「ここで我々にとって問題なのは、そうした(機械が仕事をするようになった)リテールの店舗で働いていた人々はどうなるのかという点だ(125-126頁)」という一文だった。「いう点だ」が、ちょうど頁をめくったところにまたがって書かれているため、予想の裏切られ感が半端ではない。この一文で予想するのは、あるいは期待を持つからこそここで予想したのは、少なくとも資本主義の希望やマーケティングとして議論する以上、ここでの問題は、機械によって仕事を追い出された人がどうなるのかという当たり前の話「ではない」、という主張だった。ここでは、もっと考えるべき重要な問題があるのだと、言って欲しかった。

5つ目の課題は誰が社会的費用を払うのかと題され、冒頭では、外部経済とコモンズの悲劇、そして独占問題が指摘される。ついに本題に入ったのかもしれない。資本主義、あるいはマーケティングの本丸であるともいえる。マーケティングとは、そもそも、独占資本段階における寡占的製造業者による…という懐かしい一文が頭のなかをよぎっているうちに、早々とこの章は終りを迎える。144−156頁、わずか10頁そこそこしかない(笑)。先の所得の問題が50−96頁もあるのに。14つあるという課題も、どうも大きさが違うようだ。その上、その大きさは、こちらの期待度(課題度)とは少し異なっているのかもしれない。あるいは、日本訳の際に削られたのかもしれない。

ほぼ力尽きたので流して読みはじめる。利己心の是非では、「私の別の著書『コトラー 8つの成長戦略』、(220頁)」が紹介され、「CSRの利用法」が語られている。私の翻訳本でもあるので、これはこれでぜひご覧頂きたい。多分、資本主義の問題はそれほど語られていない。

  

一気に流れて、ついに12個めの課題「マーケティングの功と罪」が語られる。まさかの大ドンデン返しがみられるのかもしれない。確かに、これまでとは異なり、こちらの予想に沿うストーリーが展開される。冒頭では、コカ・コーラとマクドナルドが槍玉に挙げられる。肥満レベルの増加をもたらした企業であるという。だがその上で、次の一文には久しぶりにはっとさせられる。「この二社は人々を肥満させようともくろんでいるわけではない。我々の舌が好むものを提供しているにすぎない(286頁)。」 

ここで語られているのは、問題の所在を一方的に企業=悪には還元できないという、企業と顧客の癒着の図式である。マーケティングは、顧客志向を標榜する。だがその結果、本当に社会はよくなるのだろうか。この問題は、残念ながら一刀両断できない。付き合い続けるという面倒な選択肢が消極的な結論だろう。その中で、マーケティングは発展してきたようにも思う。 

もちろん、「広告は欲望を作り出す(289頁)」。そのとおりである。紹介されるガルブレイスの依存効果の時代から知られてきたことでもある。そして本書の最初の一文に帰るのならば、これこそが、資本主義をこれまで生き永らえさせてきた根源でもある。広告をはじめとするマーケティングがなければ、おそらくもっと早く、資本主義は戦争という外的市場獲得の方法によって崩壊するか、あるいはある種の革命を伴った別の仕組みへと移行していただろう。無限に市場を深耕するメカニズムこそ、資本主義の根源であり、要するにマーケティングである。資本主義に希望があると近代マーケティングの父・コトラーが語るとき、マーケティングとして注目すべきなのは、マーケティングの功とともに、罪であることは全く異論がない。

 

マーケティングの功と罪では、最後に改めてソーシャル・マーケティングの活用が示される。最初の唐突さに比べれば、今度はそれなりにオチを提供しているようにもみえる。だが、もう少しその論理に踏み込めるような気もする。それを60年代以降やってきたはずだ。

残りの2つはまとめという感じである。幸福を目指そう。とすれば、12個目だけがこの本らしく、ただこれだけでは不十分だと思う。もっと他の本も合わせて読んだほうがいいのかもしれないし、そもそもこの本も、もっと大きなテーマの一部として書かれたものなのかもしれない。と、そんなことを思った次第でした。

お読みください、この一冊

こんばんは。新三年生のぼんぼんこと中川です。課題をさっさとやってしまえば気が楽になるとわかっているのに提出期限ギリギリまで粘る愚か者ですがどうぞよろしくお願いします。
 さて、今回僕が紹介する本は吉本佳生著 『スタバではグランデを買え!』 です。ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。僕が首都大経営学系に入る前に一度読んだもので、なるほど身近な日常生活にも隠れた経営戦略があるのかと印象深かったのでもう一度引っ張ってきた本です。2007年出版と一昔前ではありますが、現在でも十分活用できることが書かれています。

 本の概要としては、日常の生活用品やサービスなどが、同じモノが違う価格で売られている理由を探るために書かれたもののようです。本のタイトルにもなっているスターバックスの話は5章に載っていて、ここではGrandeを買うのが消費者側も店側も一番得だと述べています。
 それは、サイズによる値段設定にあります。Shortの240 mLに対してGrandeは2倍の480 mL。にもかかわらず、どの種類の飲み物でもShortとGrandeの価格差は基本的に100円です。例としては、2007年当時の価格でコーヒーShortが250円、Grandeが350円。カフェラテShortが300円、Grandeが400円。たった100円追加するだけで2倍の量を飲むことができる、という流れです。
当時はShortからGrandeまでの価格差が100円で現在は価格改定されて80円となっていますが、要は「内容量の差が2倍になるのにどうして価格が少ししか変わらないのか」ということなので基本的な戦略は同じです。
 
 ではどうして店側にも利益が出るのでしょうか。この続きは実際に本を読んでみてください!他にも携帯料金がどうして複雑に設定されているのか、100円ショップの安さの秘密は何か、など興味深い内容になっています。興味を持っていただけた方には、個人的にはつい最近iPhone SEに変えたこともあって第4章の携帯料金の謎をぜひ読んでみてほしいと思います。

 ・・・とまあ偉そうなことをつらつら書き記したのですが、コーヒーが苦手なのもあって生まれてこの方スタバに行ったことがありません!!!それでは!

 

読みやすいのにためになるこの一冊!

こんにちは。ゼミ3年の延対寺です。春休みが終わり、早くも夏休みが待ち遠しいです。初めての投稿なので緊張しています。

今回は、このあいだセブン&アイの会長を引退表明したことが報道された、鈴木敏文さんの「売る力」という本について書いてみたいと思います。
この本はゼミを決める面接のための準備をするため、親にマーケティングの良い本がないか聞いたところ、この本を勧められたため読み始めました。最初はそんな感じで読み始めた本でしたが、読んでいくと役に立つためでなく、具体的な説明があるため説得力があると同時に読みやすくなっていて夢中で読んでしまいました。

 私がこの本の中で印象に残った点を2つ挙げたいと思います。

1つ目は、新しい商品を開発するときは、現在あるAという商品をA’ にする程度ではなく、BやCにするといった革新的な改良が必要になるということです。売り手からすると、すでにある商品のいいところを取り入れ新しいものを作ったつもりでも、買い手から見るとあまり変わっておらず、飽きられてしまうことが多いからだそうです。

 2つ目は、価格が安いAと高いBという2つの商品を用意すると高い商品の価値を感じられず、安いほうでも良さそうだという心理が働き安いほうが売れるそうです。しかしここに、さらに価格が高いCという商品を加えると買い手は、BはAよりかは上質そうだけどCよりかは手軽だ、と考えBが売れるようになるそうです。これは買い手がその商品を「上品さ」「手軽さ」の2つの視点から考えた結果だと述べています。

このようにこの本には、長年経営者を経験したからこそ分かるようなものが多く書かれています。ここに紹介したのはほんの一部に過ぎないので、気になる方はぜひ読んでみてください。

小川進『ユーザーイノベーション 消費者から始まるものづくりの未来』 東洋経済新報社

あけましておめでとうございます。阿部です。


先生から「年内に!」と言われていたのに年が明けたどころか世間では成人式まで終わってしまいました…申し訳ありません。


今回は書評に挑戦してみたいと思います。


Sカレが終わり、ゼミで反省会をしていたときに先生から「ユーザーイノベーション」という言葉を聞きました。
私は(……ユーザーイノベーションってなんだろう…)となったので、今回はそれに関するこちらの本を選びました。
アマゾンで「ユーザーイノベーション」と検索して一番上に出てきたのがこの本でした。

この本では「「イノベーション」は「大学や企業」から発信される」という前提を疑問視し、「ユーザー(つまり主に消費者)もイノベーションしているのではないか」という仮説を検証しています。
普通の時計を子供が時計を読めるようにするため色分けする、というのはユーザーイノベーションとして挙げられている一例です。



この本の中で私が興味を持ったのは、「知的財産権はユーザーイノベーションを阻害する可能性がある」という点です。
おもちゃで有名なレゴ社の事例が挙がっているのですが、レゴ社の商品に「マインドストーム」というプログラミング学習用のロボット組み立て教材がありました。

それに世界中のハッカーが飛びつき、ソフトウェアのコードを解析し公開します。これによってマインドストームのコンピュータプログラムを書き換えてしまえば、販売されているものよりも自由な動きができるようになってしまいました。
初めレゴ社の対応はプログラムを解析したハッカー達を訴えるつもりでしたが、ネット上ではマインドストームに様々な動きをさせている様子が多くの人によって公開されていました。これを見てレゴ社はむしろプログラムを改変することを「支援」し、さらにコンテストを行うなど消費者を開発に取り込もうとしました。その結果マインドストームは大ヒット商品となります。


もしこの時ハッカー達を訴えていたらマインドストームのヒットは無かったかもしれませんし、それどころか裁判の費用が大きくかかった上にプログラムの改変は根絶できないままだったかもしれません。とはいえ知的財産権を完全に放棄するわけにもいきませんし…今後のあり方を考えてみようと思います。


これはこの本の中の一例でしかなく、「ユーザーイノベーション」と一口に言ってもイノベーションの形態やそれを行うユーザーの動きも様々に紹介されています。
クックパッド、iPhone、初音ミクなど私たちにとっても新しいものが多く例に使われているので読みやすいです。


「ユーザーイノベーション」というワードだけで手に取った本でしたが、インターネットの普及した現在では非常に重要度が高く奥の深いものだと感じました。
しっかりとした理解にはユーザーイノベーションに関する他の本や、この本をもう一度読む必要がありそうです。

「エスキモーに氷を売る」 ジョン・スポールストラ

こんにちは。3年の佐藤です。
今日は、かなり前ですが読んだマーケティングと営業について書かれているこの本を紹介します。
                       
この本は、2000年に出版されたもので、もう15年前のマーケティング書です。
とてもユーモアのきいた題名で思わず手に取ってしましました。
題名からもわかるようにエスキモーというのは氷に囲まれて生活している民族です。そのひとたちに氷を売るにはどうしたらいいのだろう。と興味が湧きますよね。
これは‘ジャンプスタートマーケティング‘といわれるもので簡単に言えば、常識破りのマーケティングです。つまり、私たちがそれぞれもつ常識といわれる部分をリセットすることから始めるわけです。

この著者であるジョン・スポールストラはNBA(バスケットボールリーグ)でニュージャージネッツというチームのGMを任されました。就任当時、ニュージャージーネッツはリーグ最弱で、人気な選手も在籍していない状況でした。それに加えて、チームチケットの営業部隊もチームに負けず劣らず最弱といわれていました。新GMにかかる重圧は大きなものでした。というのも、ニュージャージー州は少し移動すればニューヨークニックスという強豪で利益も非常に高いチームが隣にあり、常に比較され、オーナーたちが焦っていたからです。
こういった状況を打開するために、最初に思いつくことはネッツ自体を強豪チームにすることです。有名選手をトレードやFA、ドラフトなどで獲得し、魅力あるチームになればファンの数も増え、球団利益も向上します。

しかし、ここでジャンプスタートマーケティングを行ったのがジャン・スポールストラです。
ジョンは、ネットを強豪チームにすることなく、球団チケット収入伸び率1位を獲得する功績を残しました。ジョンが主に行った戦略は三つあります。
1.強いチーム≠チケット収益が多い
2.一度買ってくれた顧客に再アプローチする
3.よい商品を作れば自動的に売れるという概念の見直し

詳しくは本を読んでほしいので、簡単に説明します。
1.3については、「良い商品(強いチーム)をが自分たちを救ってくれる、と思っているならそれは間違いだ。」とジョンは言っています。ジョンの時代は、まだ大規模な広告が普及してなく、膨大なお金をかけて広告を打ち出す経営者はあまりいませんでした。そこにジョンは注目したわけです。
2は、一度、自社の商品(チケット)を買ってくれた人は、新規のお客より自社の商品に関して、財布のひもがゆるくなっているはず。という考えから、積極的にアプローチをしました。

結局、表題のエスキモーに氷を売る方法は思いつかなかったのですが、最近はインターンシップで営業や商品企画などのワークが多いので、もっとマーケティングなどの本を読んでいきたいと思います。上記にあげたほかにも、さまざまな戦略や自論が書かれており、すらすらと読める本なのでぜひ皆さん読んでみてください。

シルバニアの本質

ご無沙汰してました。森桶です。

 

今回は一念発起して書評に取り組んでみました。大したことは書けないと思いますがせっかく読んだので書いてみたいと思います。ちなみにブックオフで400円くらいで買いました。

 

この本は感性マーケティングという手法で購買活動を行う3社の代表者による講義を書き出した本です。最後には意識の高い学生からのインタビューも乗っています。

 

3社書いてありましたがその中で一番感性マーケティングに触れていたエポック社について説明したいと思います。

 あかりの灯る大きなお家

シルバニアファミリー公式サイトより

エポック社は玩具業界のおもちゃ分野での大手企業です。その主力商品には野球盤なども有名ですが何といってもシルバニアファミリー。女性の方なら小さいころに一度は遊んだことはあると思います。その企業が行っているというのが感性マーケティングです。これは合理性や機能性とは対極し美しさや美意識もしくは感情に訴える付加価値によって差別化を図るというものです。

このマーケティングを行う業界として美容師業界やお菓子業界も挙げられていました。

 

この企業はどのような感性マーケティングを行うのでしょうか?

最も重要な部分は本当にこの世界があると思わせる真実性をもたせることといいます。家具や家は徹底して細部までこだわり、学校やショッピングはもちろん別荘もつくられています。子供たちはこれを使って話をつくりごっこ遊びをするのです。僕も昔は山のように積み上げられたポケモンの指人形でよくやっていました。シルバニアと比べるとすごく乱暴な使い方をしていたと今は思います。

 

この真実性を高めるためには、本当に細かい部分に取り組まなければなりません。例えばコマーシャルはコンピューターを使わず、1コマ1コマを動かして撮影しているそうです。その方が自然な動きを表現できるとか。また店舗のジオラマも大切な要素になっています。子供たちは本当にこの世界があるのではないかと思うからです。

 

また、シルバニアの世界はみんなが幸せな世界を描いています。そのため子供たちはごっこ遊びをしている途中、幸せの疑似体験をしているのです。その幸せの世界から子供たちは他人への思いやりや豊かな人間性を生むそうです。また、大人が見てもかわいいと思えるフォルムすることで、みたときに子供の頃に遊んでいた幸せな気持ちを思い起こさせます。これは大人も子供に買ってあげたいと思うでしょう。

 

個人的に思ったことは顧客の感性に問いかけてマーケティングをするためには顧客をその世界に引き込むことが重要だと思いました。そのためにはパッケージや販促活動等で世界観を映し出す必要があります。イメージを壊すようなことは絶対にできませんね。

この商品は徹底してかわいいを追及していますが、最近はきもいという感性もトレンドになりつつあると思います。買ったことないですが決してかわいいとは言えない小人シリーズのおもちゃとかありました。他にも最近広島カープという野球チームを応援するカープ女子といったワードも流行りました。彼女たちがなぜ縁もゆかりもない広島の野球チームを応援するかというと弱すぎてかわいそうという心が働くからだそうです(笑)。本来ならばマイナスの意味合いをもつ感性が母性本能をくすぐるのでしょうか。まあなんにせよ機能性による発展に限界も感じられてきたこの頃では感性マーケティングは今後重要な位置付けになってくると思います。