本屋さんの新戦略-実店舗の強みを活かして-

こんにちは!3年の濱田です。

皆さんは本をどこで買うことが多いでしょうか?
書店に行って買う/古本屋で買う/ネットで買うなど、人によって様々ですよね。

ちなみに私は断然書店派です。もちろん内容やわかりやすさについてのレビューやランキングなどをAmazonでチェックして買うこともありますしそれが合理的だとは思います。
しかしたくさんの本の中から1冊と「出会う」という体験は書店でしかできないと思います。私はその時間がとても好きです。

Amazonにも書籍ジャンル別でランダムに載っているページはありますが、おすすめや人気に基づいているため純然たる本棚とは言い難いですし、そして何より試しにパラパラと読むことができません。(何ページか限定で試し読みはできますが好きなページは読めませんよね)
そのためAmazonで買う場合には、既に購入する1冊が決まっているケースが多いような気がします。

本を選ぶ時間も十分楽しめる街の本屋さんですが、近年書店の数は減り続けているそうです。
要因は、電子書籍の普及や通販サイトのユーザー増加などが挙げられます。
下のグラフは、全国書店の坪数別店舗数の推移を示しています。(JPO書店マスタ管理センター資料より作成)

このように、本をどこでも買えるようになった時代で書店はピンチを迎えています。

しかし、これを機に視点を転換して新たな価値を提供している書店もあります。
今回はそちらを紹介します。

文喫(六本木)
⇒2018年、かつての名店『青山ブックセンター』跡地にオープン

詳しくはこちら:https://bunkitsu.jp/

こちらでは、
書店のあり方を
本を売る場⇒新たな本との「出会い」体験を売る場
として捉え直しました。
今までの書店と圧倒的に違うところといえば、入場料制度を設けている点です。
ここでは、入場料1650円(税込)を払えば店内にある本は全て読み放題です。そして中にはロッカーやソファー、カフェなどのくつろげる空間が完備されており、好きなだけ滞在することができます。もちろん気に入った本は購入可能です。

店内には人文科学や自然科学からデザイン・アートに至るまで約3万冊の書籍が販売されており、加えてエントランスには約90種類もの雑誌が置かれています。
普段出会えないようなラインナップも多く扱っており、顧客にとっては新たな興味の入口となることも多いそうです。また企画展も定期的に開催していて、様々な文化と向き合う体験を豊富に提供しています。

(企画展について詳しくはこちら:https://bunkitsu.jp/event/)

このように、文喫では従来の書店とは異なる視点で、本を選ぶところから意中の1冊に偶然出会えるまでのプロセスにおけるワクワク感の提供を有料化しました。
この発想の転換によって、実店舗ならではの強みがしっかりサービスに活かされてますよね。

リアル体験を商品化するという新しい戦略のように、もともと無料で当たり前に提供していたサービスの価値を見直してみることはビジネスの新たな工夫創造に繋がります。それは本屋だけでなく、どの業界にも言えることだと思います。
皆さんも、普段利用するお店で当たり前に享受していたサービスの価値を再度よく考えてみてはいかがでしょうか。実は業界が抱える問題の抜け道となる鍵が潜んでいるかもしれません。

参考:https://bunkitsu.jp/about/

https://www.jinjolifeshift.com/new_bookstore_bunkitsu/1213/