熱烈中華食堂 日高屋

こんにちは!坂本雄亮です。

みなさんは日高屋という中華料理店に行ったことはありますか?

日高屋は、株式会社ハイデイ日高が展開する大衆中華料理店で、多彩なメニューを低価格で提供しています。首都圏を中心に現在385店舗を展開中とのことで皆さんも1度は見かけたことがあるのではないでしょうか。

日高屋は、ここ13期連続の増益を達成し、収益率は外食業界髄一といわれています。成長を続け、目標は首都圏に600店舗展開することだそうです。

今回はそんな日高屋についてマーケティング分析していこうと思います。

まず日高屋の競合を分析していくと、

同じカテゴリーの中華料理チェーン店として挙げられるのは、餃子の王将や幸楽苑などです。さらに外食という観点からは、マクドナルドや吉野家などの外食チェーン店全般が競合ということになります。

次にSTPMに基づいて分析をしていきます。

*セグメンテーション・ターゲティング

日高屋の大きな特徴である首都圏の駅前立地への展開を考えると、日高屋HPにあるように、駅前という利便性を生かし、誰もが気軽に立ち寄れるお店を目指していると考えられます。
まず、首都圏に出店を限定していることから地域という地理的変数によってセグメンテーションされ、さらに駅前に出店ということで通勤通学の際に通る機会が多く、その動線上に店舗を構えることでお客さんの来店を狙っている(http://diamond.jp/articles/-/81728?page=2)ということから行動的変数によってもセグメンテーションされる。これらのセグメンテーションから日高屋は、首都圏の駅を日常的に利用する人をターゲットにしていると考えられます。また日高屋のメニューが中華料理全般を低価格で提供していることから学生から高齢者まで男女年齢関係なく、ターゲットにしていると考えます。

*ポジショニング

日高屋を他の中華料理チェーン店と比べると、最も特徴的であるのは駅前立地であることの利便性の良さです。そして多彩なメニューを低価格で楽しめるという気軽さ。これらが他の中華料理店に比べ競争優位であり、この2つの点においてポジショニングされていると考えられます。

*マーケティングミックス

・製品政策

 日高屋のメニューはラーメン、餃子、定食類など様々な種類の料理を提供し、さらにラーメンでも複数の種類があることから製品の幅・深さともにあると考えられます。さらに日高屋はアルコール販売も行っています。〝全メニューの売上高に占めるアルコール飲料の比率は14.5%に上る。同業の中華料理チェーンは4~5%台であるから、いかに高いかがうかがえよう。″(http://diamond.jp/articles/-/81728)とあるように日高屋のアルコール販売は、ビール一杯つけても低価格なこと、駅前出店で路面店では見込めない(車での来店が多いため)アルコール販売への需要によって売上全体の多くを占めています。そしてこのアルコール販売が高い収益率を達成している要因です。

また、“「料理は10人中6人がおいしいと言ってくれればいい」という力の抜き加減。熱烈なファンの獲得を狙うのではなく、万人受けする味とメニューを追求し、「飽きがこない」店を目指している”(http://diamond.jp/articles/-/81728)とあるように日高屋の料理はあくまで幅広いお客さんに楽しんでもらえる味を目指しているようです。

・価格政策

 日高屋の価格は、日高屋の看板にも記されている「390円 税込」という低価格の中華そばをはじめ、餃子(6個)190円、炒め物の定食類は600円台と比較的低価格、全店均一で提供しています。この低価格を実現するため、セントラルキッチンと提携した食材価格の低減、無駄のない食材調達・在庫管理など行っているそうです。

・プロモーション政策

 日高屋はテレビcmなどのマスメディアを使用した広告は行っていません。これは首都圏に出店を限定していることや、駅前に出店しているので人々が目にする機会も自然に増え、出店していること自体が日高屋の広告になっているためだと考えます。店舗前の看板も「390円 中華そば」とあり、低価格で中華料理を食べられるお店と非常にわかりやすいものになっています。

・流通政策

日高屋の出店戦略は上にもあるように首都圏の駅前立地に展開することです。駅前立地となると家賃が高いことがネックですが、その点は深夜営業をすることで対応しています。さらに日高屋のおもしろいところは駅前は駅前でも、マクドナルドなどのファーストフード店の隣に出店しているところです。これはファーストフード店が先に出店していることで、お客さんの流れを利用しつつ、出店する際の立地条件の調査のための費用を節約するためらしいです。

また日高屋は一駅に複数店出店することも多く、埼玉県大宮駅周辺には、14店舗あるそうです。これはお客さんが目にする機会を増やすだけでなく、物流効率の上昇にも繋がります。実際に、埼玉県にある工場ひとつで日高屋全店舗を対応しているそうです。

これらの出店戦略は、経営の効率化に直結し、日高屋の低価格のメニューが実現できる理由の1つとも考えられます。

日高屋をSTPMで分析してみたところ、日高屋の成長の要因は徹底した首都圏における駅前へのドミナント出店戦略にあると考えます。

駅前への出店をうまく利用し、広告、物流の面でのコストを削減することで低価格メニューを実現しました。さらに駅前立地を生かしてアルコールを販促し、利益率の向上に繋がりました。

日高屋は駅前出店が強みであると思いますが、これからはその強みが問題点になってくることも考えられます。家賃が高いことを営業時間でカバーしていますが、首都圏で展開している以上、人件費は比較的高めであり、これからの人口減少また景気回復傾向とともにさらに人件費がかかると考えられます。新規出店にもコストがかかるため、人材確保、人件費に気を配りながらも、成長のための新規出店を慎重にしていくことが重要であると私は考えます。

   (ダイヤモンド・オンライン 2015/11/27)

   (東洋経済オンライン 2015/6/10)

   (日高屋HP)

   (株式会社ハイデイ日高 IR情報)