こんにちは、横田です。今回はキリンビールの「47都道府県の一番搾り」の事例について分析していきたい。
ビールの消費量が低迷するなか、キリンビールは2016年春に、「47都道府県の一番搾り」を販売し初年度目標の2倍以上となる約270万ケース(大びん換算)を売り上げた。

出典:http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/1034127/052400003/thumb_400_01_px400.jpg
この事例を4Pで整理すると以下のようになる。
製品政策
地元の食文化・情報に精通した地元民とキリンビールの社員が一緒に商品のコンセプトやその楽しみ方を考える共創ワークショップを全国で実施した。それにより、一番搾りの味をベースにしつつ、地元住民の意見を取り入れながら、キレやコクなどを細かく調整することで地域別に独自の味を表現することに成功した。
たとえば、鳥取県はコク重視のまろやかな味わいとしているし、山形県はコクとキレを備えたバランスの良い味わいとなっている。大阪府は「めっちゃ豊潤」というテーマでアルコール度数を6%にするなど、都道府県それぞれ独自の味わいがあり、飲み比べが楽しめるようになっている。
価格政策
販売店によって異なるが、通常版とほぼ変わらない。
プロモーション政策
広告は47都道府県ごとにつくり分けたり、全国で実施したワークショップを起点に、各エリア特性に合わせた営業活動プランを構築したりと、より地域に根ざしたプロモーション活動を行った。
流通政策
全国9工場の製造設備を最大限に活用することで、47種類の新商品を製造できる体制を早期に構築した。
商品は主にその土地のスーパーや酒屋で売られた。ネットでは47都道府県分のビールが入った飲み比べセットも売られた。
このように「47都道府県の一番搾り」は地域ごとの特性を生かした商品開発や地元住民の郷土愛を効果的にマーケティングに生かしたことで顧客の支持を獲得したと考えられる。