キウイ兄妹

こんにちは!3年の小堀です。
東京はようやく梅雨入りし、ジメジメとした季節がやってきましたね。
また、前期末も近づきつつあり、一層気を引き締めて授業に望みたいと思います。

はじめにですが、デジタルの時代において、キャラクターマーケティングの重要性が高まっていると感じないでしょうか。有名なところでは、ローソンのあきこちゃんや森永のキョロちゃんなど、企業独自のキャラクターは、顧客の心を掴み、企業価値を高めることに寄与しています。本来、キャラクターを用いるというのは、企業の認知度や親しみを向上させる目的だったところから、SNSの普及によって、企業と消費者だけでなく、消費者間での広がりも見られるようになりました。


(筆者撮影)

そうした例の一つとして本日は、キウイの良さを伝えるためにニュージーランドから日本へやってきたという設定の「キウイブラザーズ」を紹介します。キウイの生産・販売を行っているゼスプリという企業が、2016年に出したCMに登場して以降、可愛くてコミカルなキャラクター像で人気を博しています。2016年当時、ゼスプリがCMの公開と合わせて、全国のスーパー1万店舗以上の店頭にキウイブラザーズのぬいぐるみを置いたところ、「あのぬいぐるみ欲しい」といった声が聞かれ、反響を呼びました。実際、日本のキウイ市場においてこれ以上の伸びは期待できないと言われていた中で、CMを公開した2016年と2020年のキウイ輸入量を比較すると、1.5倍もの増加となっており、キウイブラザーズの影響が大きかったといいます。

 

もともとは、人気タレントをメインに添えたCMで長年PRを行っていたゼスプリですが、「もっとキウイを中心に据えたコミュニケーションを消費者の方々としていきたい」(マーケティング部・水谷かやのさんのインタビューより)という思いからキャラクター開発とCMローンチに至りました。また、キウイの良さの伝わりやすさだけでなく、女性に好感が持てるかどうかを重要視し、応援したくなるようなキャラクターづくりを目指したそうです。確かに、キウイの鮮やかな断面が見えてかつ、可愛さが見てとれますよね。

 

しかも、昨年公開された、キウイブラザーズのテレビCM「好きなことを楽しみながら」篇は、2020年度CM好感度ランキング 作品別で総合1位となり、コロナ禍で頑張っている人への癒しとなりつつ、自分なりに精一杯頑張る姿が共感を呼び、話題となりました。

くわえて、CM効果も相まって、「キウイブラザーズ」が特に大人の女性の間でブームとなっています。5月28日発売された40代女性向けファッション誌『GLOW』7月号増刊に「キウイブラザーズ」のマスコットポーチが付録することが発表されると、通販サイトでは 軒並み完売となり、雑誌の高額転売が起こるほどでした。女性からの人気の高さがうかがえ、ゼスプリの狙い通りといえるのではないでしょうか。

 

このように、キャラクターを使用した積極的な販促活動は、企業や商品の認知度の向上とともに、消費者間で自発的に盛り上がりを見せることがあると分かります。特に、SNSがその役目を担い、顧客層を広げることに繋がっていることでしょう。その中で、ゼスプリは、これまでのCMで、タレントさんのイメージが強く、キウイの良さを印象に残せていないというマーケティング上の課題をキャラクター路線のCMに変更することで対処しました。企業がどのような目的でキャラクターを設定しているのか、あるいは、キャラクターが企業にどのような効果をもたらしているのか注目してみるのも面白いかもしれませんね。

【参考文献】
ゼスプリ、キウイブラザーズ効果で輸入量が約1.5倍に CM路線変更による“アゲリシャス”なキャラクター戦略とは|ORICON NEWS

ゼスプリのキウイ「バカ売れ」支える意外な戦略 キウイフルーツがCM攻勢をかけられる理由|東洋経済オンライン

国民的大ヒット!ゼスプリテレビCM「好きなことを楽しみながら」篇2020年度CM好感度ランキング 作品別総合1位を獲得|PRTIMES

「キウイブラザーズ」大人女子の間でブームに? 女性ファッション誌がマスコットを付録にしたワケ|リアルサウンド ブック

新時代のSNS?

こんにちは。3年の小林です。

先々週のサイワールドのケーススタディ以降、ソーシャルメディア・マーケティングに関する活動が続いています。活動において様々な企業のソーシャルメディア・マーケティングについて調べていく中で、マーケティング分野におけるSNSの影響力が強まっている事を再実感しています。
そこで、今回僕が取り上げるのは台湾で配信され、マーケティング分野でも各企業の注目を集めている大学生向けの掲示板式SNS「Dcard」です。

Dcardのサービスは、利用するには所属大学発行のメールアドレスか学生証での認証が必要になるという特徴があり、今では台湾の大学生の9割が登録していると言われています。登録したユーザーは、「グルメ」「ファッション」「学生生活」等のジャンル毎の掲示板や大学毎の掲示板を用いて、他の学生との交流が可能になります。また、24時間に1枚だけプロフィールが書かれたカードを引くことが出来、相互に承認するとやり取りを行うことが出来る「一日一会」というマッチング機能も人気を博しています。主な収益源は広告費であり、ユーザーから直接収益を得るサービスは現時点では行われていません。

そんなDcardは多くの大学生が集まっている事もあり、台湾の名だたる大企業の多くが広告を打ち出したり、コラボ商品の企画を行ったり、更にはアンケート等によるマーケティングリサーチの場としても利用しています。

ここまでDcardが企業の関心を集めている要因には、Dcardのユーザー層が他のSNS等と比較して極めて限定化されている点が関係しています。Dcardはサービスの性質上メインユーザーが18~22歳に固まっており、10代後半から20代前半をターゲットにした製品やサービスの提供を行う企業にとってはこれ以上ないほど確実にターゲット層へのアプローチが可能なプラットフォームとなっています。また、そのような場でアンケートをはじめとするマーケティングリサーチを行う事で、これらの年齢層の若者がどのようなものに興味関心を寄せているのかといったトレンドを正確に把握できる点も企業側にとって大きな魅力となっていることが考えられます。

このDcardは今年の4月に「Dtto(ディット)」という名前で日本版のサービスが開始されました。

サービス開始間もないこともあり、まだ登録できる大学は首都圏の一部大学(中央大学・お茶の水女子大学・法政大学・早稲田大学・学習院大学・上智大学・一橋大学・慶應義塾大学・東京大学・青山学院大学・立教大学・明治大学)に限られていますが(5月31日現在)、今後その範囲を拡大し、最終的には日本でも9割の大学生に利用されることが目指されています。学校メールアドレスや学生証を用いた認証システムに掲示板形式という他のSNSとは一風変わったサービスを展開し、企業側にとっても極めて限定的なターゲット層へのアプローチが可能なプラットフォームとしての価値を提供するこのSNSが、日本でも台湾の場合と同様の成功を収めるのか今後注目していきたいです。

参考) Facebookの「次」を狙う台湾発の匿名SNSが日本上陸、“学生の9割が利用”の理由 | DIAMOND SIGNAL
https://signal.diamond.jp/articles/-/728

Dtto公式ウェブサイト https://intro.dtto.com/

高さには理由がある

こんにちは!阿部です!今回は大好きな「青の洞窟」のマーケティングについて書きたいと思います。

ここ、一度はInstagramやTwitterで見たことがありませんか?あのインスタ映えしそうなスポット、実は「青の洞窟」が協賛しているんです。

その「青の洞窟」は日清製粉から1995年に発売されているパスタソースや冷凍パスタ等のブランドで、「グルメのためのパスタ&パスタソース」をブランドテーマとして発売された商品です。背景には1980年代のイタリアンブームがあり、様々な本格パスタが日本中に浸透していった頃に立ち上げられた本商品は今でも家庭用パスタ界で存在感を現し続けています。

今回は2つのポイントに絞って今でも売れ続けている「青の洞窟」の秘訣に迫りたいと思います。

①ブランドイメージや世界観の構築が上手

初めて私がこのブランドに触れたのは小学生の時でした。赤や黄色といったパッケージが多いパスタソースのコーナーにひときわ青いコーナーがあり、パッケージの写真もおいしそうだったので購入をせがんだ記憶があります。

この「青色」は食品業界では異様なパッケージ色で、普通は食欲を刺激する赤や黄、緑色を用いるところを食欲減退、冷たいイメージのある青を使用しています。

しかし実際イタリアにある「青の洞窟(上部の写真)」は青い海の色が洞窟内で反射し、非常に神秘的な美しさを放っています。このように深遠なブルーを使い、洞窟のような奥深い味をイメージしたブランド名やパッケージを作り上げ、高級感・特別感を印象づけたことで40、50代をターゲットに取り込めました。

今現在は「欲深い大人の濃厚イタリアン」をテーマとして、パスタソースだけでなくペンネやラザニア、バーニャカウダソースも販売しており、前菜からメインまでを包括的に提案することで売り上げを伸ばすと同時にブランドイメージを確固たるものにしています。

 

②失敗した商品も再登場させる勇気

現在、冷凍パスタの売れ行きが好調な「青の洞窟」ですが、実を言うと2002年に一度冷凍パスタを発売しています。当時は冷凍ラザニアやリゾットもありましたが、通常のパスタより高価で売れ行きが伸びず、販売を停止していました。しかし2010年にブランドテーマ等を刷新し、改めてブランド認知が高められるような施策を行いました。そこで冷凍パスタやラザニアを再度販売したのです。この再販売では社会性の変化、消費者からの声も取り入れた商品開発が功を奏し、現在でも売り上げを伸ばし、ラインナップを広げています。

また、2018年には「GRAZIA(グラツィア)」シリーズという上位ブランドを展開し、同じ商品のリメイクをしています。例えば同じボロネーゼでも上位シリーズは素材のぎっしり感や高級感、味、ソースの量の増加等こだわった一品を提供しています。

このように一度失敗した商品をリメイクしたり、上位互換を出すというのは「売れる」という確信がなければできない戦略であり、日清製粉が非常にこのブランドを信頼し力を入れていることがわかります。

 

これ以外にも、2016年から青色のLED電球というノーベル賞にも選出された発明を使用したきれいなライトアップとパスタの提供を行うクリスマス限定イベントを渋谷・代々木公園で行っており、若者からの認知度も徐々に増えつつあります。Youtubeではプロのアレンジレシピも挙げられているので、一工夫で市販品とは思えぬ味と盛り付けができ、主婦の方へのアプローチもバッチリです。

このように自分が応援してきたブランドが売れて行くのは嬉しいことですね。今後はアクアパッツァ等のパスタ以外の商品展開も精力的に考えているそうなので非常に楽しみです。

最後になりましたが、ズワイ蟹のトマトクリームが一番おいしいので是非食べてください。一度食べれば他のパスタソースが眼中に入らなくなります。

ではまた次の投稿でお会いしましょう!

参考資料

青の洞窟 Club (aodo.jp)

191025.pdf (nisshin.com)

2010年7月20日 専用WEBサイト「青の洞窟 Club」オープン!!〜会員登録で発売前商品をGET〜 | ニュースリリース | 日清製粉グループ (nisshin.com)

“家庭で楽しむイタリアン”日清フーズ「青の洞窟」シリーズ誕生の由来とは〈ブランドの造りかた〉(食品産業新聞社ニュースWEB) – goo ニュース

『青の洞窟 SHIBUYA』渋谷公園通り~代々木公園ケヤキ並木が青一色に染まる – ファッションプレス (fashion-press.net)

HIS 絶景「青の洞窟 イタリア・カプリ島」 (his-j.com)