筒井淳也『仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、生みにくいのか』中公新書、2015。



仕事と家族 – 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)

イクメンよろしく、このところ日本でもつとに重要なテーマとなってきた「仕事と家族」。まだまだ男性が働き、女性は家事をするというスタイルが強い中、その変更の方法と、そもそもそうした変更が必要なのかどうかという問題は、長期的に考えるテーマだろうと思います。

本書で示される世界情勢は、その多様性を垣間見せます。日本遅れてるね、という話ではなく、まずもって男女が共に働く社会としても、アメリカ型とスウェーデン型ではその仕組みが異なるということ。また、男女分業的な日本に似た国々も存在しているということ。選択肢はいろいろあります。

男女が共に働ける社会を作るためには、もちろんそのための制度を作る必要がありそうです。ただ、より大事なことは、そうした制度を作ったほうがよいと考える人と、そうは考えていない人々(抽象的には、これこそが「制度」でしょう)がいるということが大事そうです。僕たちが抱く「家族とはこういうものだ」という「制度」こそが、個人的には変更されるべき対象だと感じます。

「要するにこういうことである。家族が担ってきた機能を(政府にしろ市場にしろ)その外部が担うことは、家族の負担軽減につながる。そうすると、家族そのものをつくり出すカップル形成と出産という二つのライフイベントが生じやすくなり、結婚後の介護不安なども緩和される(170頁)。」

個人的に興味深かったのは、どうして家事の分担の平等化が進まないのかという点。経済的な理由をはじめいろいろと指摘されていますが、家事のスキル格差という点は、そうかもと思いました。特に食事に関しては、本格的に作れるようになるためには時間がかかります。この時間は、出産を前後した期間程度で追いつけるわけではない。夫が変に高いものを使って食事を作り始めたりして、妻としてはいらいらして、もういいわ!となる(笑)。逆に言えば、「食事には手間をかけるべき、それこそ家族である」という制度は日本で特に強固であり、海外ではこの感覚があまりないために、食事機能を外部化することも夫が担うことも容易だったのであろうというわけです(184−185頁)。

海外の研究でも、食事は家族アイデンティティの形成にとって重要な儀礼の一つであるとされていた気がしますが、それも一枚岩ではないのかもと思いました。エンプティーネストの研究で、奥さんがご飯を家で作るのを止め、喪失感と共に自分の時間を取り戻す的な話ありましたよね。。


東京マラソン・宇都宮焼きそば・瀬戸内国際芸術祭

(補足)たくさん分析をしてもらいましたが、これらの分析に際してはとりあえず以下の書籍を参考にしてもらっています。


多くの分析で、マーケティング・ミックスが用いられていますが、これらはあくまで分析やモデル構築の枠組みとしての有用性があるかどうかを確認するためのものです。分析やモデルが正しいということではありません。

いずれの分析においても、時間的な変化、および、空間的な多様性を考慮することにより、マーケティング・ミックスの意義と限界がみえるとともに、理論的、実務的ともに、次の指針を得る手がかりとなります。

東京マラソンがもたらすもの

こんばんは、中嶋です。

東京マラソンのマーケティングを考えていきます。
今回は「目的」「顧客」「顧客へのアプローチ」を簡単にまとめます。

「目的」

主要→観光復興
            ・マラソンコースを観光名所に置く
            ・マラソンエキスポにおける選手の受付(=ランナーが東京に滞在する理由を作れる)
           ・観光業の閑散期に開催(2月)
          
その他①→地域コミュニティの再生
            ・ランナーだけではなくボランティアや観衆も共演者
            ・地域全体が協力して開催に貢献する
            ・ランニングブームでコミュニケーションが広がる

その他②→経済効果
            ・ランニングブームによりスポーツメーカー売上向上
            ・東京マラソンに関わろうと多くの人が東京に訪れ消費行動をする

その他④→スポーツ復興
            ・特に陸上競技の少子高齢化による人口減少を食い止める

後付け→東京オリンピックを運営する能力を海外へアピールすることに成功

「顧客」

老若男女→だれでも気軽に取り組めるマラソンは最適なスポーツ

「顧客へのアピール」

高いステータス→オリンピック競技大会代表選手選考協議会と表記することでランナーのモチベーション高まる

まとめは以上です、実はマトリックスを用いた細かい説明の記事にしようと考えていたのですが、図を貼り付けることができませんでした。また気が向いたらブログに投稿したいです。

大都会東京で行われる一大イベント!

3年長澤です。
今回はイベントマーケティングを考えるということで、東京マラソンについての目的、顧客、アプローチ法を考えました。

【目的】
東京マラソンをマーケティング的な観点から見ると、「観光振興」が最大の目的だと考えました。マラソンコースを観光バスのようなコースにすることにより東京の名所をアピールしています。また、マラソンエキスポにおける観光名所や特産品のPR、海外大会における東京マラソンへのエントリー受付などスポーツツーリズムとしての役割を果たしています。東京マラソンの経済効果、社会的影響はとてつもなく大きいと言えます。

【顧客】
東京マラソンの顧客は大きく分けて三通りあると考えました。一つ目はマラソン初心者、二つ目は絆を求める都民、三つ目は国内外からの東京への来訪者です。以下で一つずつ説明します。

1.マラソン初心者
高齢化社会の日本では、「お年寄り」というよりは「元気な高齢者」と呼ぶのにふさわしい存在が多数になりました。このような人々をターゲットとした商品・サービスが大きな市場になってきています。また、ランニングは健康の維持・向上に役立つものの、始めるきっかけがないだとか、地味で苦しいのでとっつきにくいと考えられています。そういった考え方の人々を顧客として、動機づけやモチベーションを創出、維持させるのに東京マラソンは開催されています。

2.絆を求める都民
東京における家庭、社会における人間関係の希薄化は都民の大きなストレスとなっています。社会的動物である人間はなんらかの人間的なつながりを求めるのは当然のことで、SNSでサークル活動やボランティアグループが生まれることもよくあります。そこで、主役のランナーや共演者という位置づけのボランティア、沿道の観衆を全て含め、東京マラソンに「参加」することで人と人とのつながりの強化を実現しています。これはデスティネーションマーケティングの「自分たちの文化に対する再発見や地域への愛着を深める」という効果にも繋がってくると思います。

3.国内外からの東京への来訪者
都民に地元の魅力を再確認してもらうのはもちろんですが、都民ではない人や海外の人にも東京の魅力を発信するのは大切なことです。コースに観光名所を取り入れることによって走った人、テレビを見た人に「今度ここに行ってみよう」と思わせることができたり、東京マラソンを目的に東京に来た人に思う存分観光してもらったりということが可能です。

【顧客に対するアプローチ】

マラソン初心者に対しては、満19歳以上ならだれでも応募でき、開催回数が増えるにつれて募集ランナーの数を増やしているので、広く開かれたものとなっています。

絆を求める都民に対しては、前項でも述べましたがランナーとして参加するだけでなく、ボランティアや観衆としての参加で誰でも一員になることができます。特にボランティアを一般公募にしていることは人々のやってみようという気を起こさせるには最適だと思います。

国内外からの東京への来訪者に対しては、コースやマラソンエキスポでの東京の魅力のPRが大きなアプローチとなっています。

以上東京マラソンについて述べましたが、考えれば考えるほど私も参加したくなりました。私自身は地方から上京してきたので、東京の魅力を理解するのにとても良い機会だと思います!今さら感はありますが来年の東京マラソンにはどのような形でもいいので携わりたいです^^

瀬戸内国際芸術祭!

こんばんわ!松浦です。
僕も瀬戸内国際芸術祭について調べました。

瀬戸内国際芸術祭は瀬戸内海の島々を舞台に3年に一度開催される現代美術の国際芸術祭です。

目的

・人口が減少した過疎高齢化の島を元気にする。

・瀬戸内の資産目録をつくり、発信する。

・アートサイト直島ブランドを生かし、香川の観光力を高める。

・美術、文化による地域づくりのモデルとして、世界的なネットワークをつくる。

・芸術祭を契機として舟運、二次交通等のインフラを整備する。

などがありますが、芸術を通して瀬戸内の島々を元気にし、「瀬戸内海」という海を地球上での「希望の海」にする。というのが大きな目的だと思います。

顧客

日本だけでなく世界各国の人々を対象としている。

しかし、高齢化した島を元気にするということから、特に若者を対象としていることがわかりました。

僕もホームページで作品を見ましたが、すごくオシャレな作品ばかりで若者向けで行ってみたいと思いました。

写真は直島の銭湯「I♡湯」(http://setouchi-artfest.jp/artwork/a001 より)

顧客にたいして、どのようにアプローチしたのか

4Pで視てみると, , ,

Product…アート作品。島によって作品の種類や雰囲気が異なっており、また、季節によっても作品が変わるので、多種多様な作品が存在します。

Price…鑑賞料は島の施設によって異なっており、300円から500円で楽しむことができるところが多いと思いました。また、シーズン毎のパスポートもありますので好きなひとはとことん楽しむことができます。

Place…瀬戸内国際芸術祭はこのplaceがキーポイントなのかなと思いました。直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島、高松港、宇野港という瀬戸内海に浮かぶ12の島と2つの港で展開されているのです。それぞれ展示されている作品はもちろん違うわけですから、たくさん楽しめそうですね。瀬戸内海というテーマパークに色んなアトラクションがある感じですね(笑)

Promotion…公式ホームページやツイッター、YouTubeでの宣伝もしています。また、独特なのが瀬戸内国際芸術祭のボランティアサポーターのこえび隊です。彼らは作品制作のお手伝いや、芸術祭のPR活動、芸術祭期間中の運営、各島での催しのお手伝いなどをしています。
こえび隊について詳しくはコチラ→http://www.koebi.jp/

あとひとつ僕が個人的に思ったのは、SNSにあげる友達の写真です。

観光という分野、芸術という分野には写真というのはすごく絡まりやすいものだと思います。(中には撮影禁止のものもありますが)友達があげた写真で誘発される場合もあります。ホームページの写真を見ると、僕の友達がツイッターにあげていたのと似たようなのがありました。このように珍しい芸術作品は注目もあび、記憶に残りやすいと思います。

瀬戸内国際芸術祭は今年で3回目を迎えます。島の人々からも絶賛されており、今年も盛り上がると思います。僕も時間があればいきたいものです。

東京マラソンを考える

こんばんわ。3年の大倉です。

1−1。「目的」は何か

1−2。「顧客」は何か

1−3。顧客に対して、どのようにアプローチしたのか

以上の項目に対して以下の点でまとめました。

1.ランニングブームの架け橋

世界中の首都で開催されてきた大規模市民マラソンを日本の首都東京で開催することで、ランニングブームを生み出し、雑誌やテレビのランニング特集や、スポーツ用品メーカーのランニング関連の商品の売り上げ、国内各都市の大規模市民マラソンの企画・開催を促し、競技人口の減少の危機感に対する期待や陸上競技の財政に貢献した。また、「第30回オリンピック競技大会代表選手競技会」と並列した2012年の東京マラソンはレベルの高い選手を集めることができ、レースの質を高め、市民ランナーにとっても代表選考会に出場したという誇りをもたらすことができた。

2.高齢化社会のニーズに対する新しい価値の提示

日本の少子高齢化社会の進行が進み、消費市場において高齢者向けの商品やサービスは増している。その一方で、比較的健康な高齢者が増えてもいる。そうした現状では、これまでの医療や介護サービスといったありきたりの発想だけでは消費を獲得することは難しくなってきている。そのために、高齢者に対する新しい市場の開拓として、ランニングというツールが用いられた。東京マラソンによって特別に練習を重ねた人だけが走れるといったようなマラソンという敷居の高さを和らげ、ランニングを始める動機を提供した。またマラソン完走や東京マラソン出場という目標の提示により、モティベーションの創出や維持をもたらした。

3.社会的な人と人とのつながり

人間関係が希薄な街と言われる東京に人間的なつながりを取り戻させるべく、東京マラソンは、もちろんランナーは主役だが、これを支えるボランティアや沿道の観衆も同等にターゲットとして扱い、ボランティアによる大会の参加を魅力的なものとして大会前からPRを行うことや、東京マラソンと並行してさまざまなイベントを同時開催することで観衆も参加型のサポーターとして位置付けた。これにより新たな人間関係の形成と町会や自治会といった地域社会の再生に貢献した。

4.スポーツツーリズムへの貢献

都内・国内に留まらず、外国人ランナーや観光客の誘致にもつなげるために、都外・国外のランナーに対する観光PRとしてマラソンコースを都内の観光名所を巡るものにしたことや、マラソンエキスポにおける選手受付の実施や、コース沿道の自治体がブースを出展することで、より多くのランナーに宿泊の誘導や都内の観光名所や特産品の PRを行うことを可能とした。そして国際的な知名度を高めるためにも、インターネットでのエントリーの受け付けや、海外大会のエキスポのブースでも受け付けるようにし、さらに、ワールドマラソンメジャーズへの加入や市民ランナーの派遣交流を行った。また大会日程が 2月に設定されているのも観光産業が閑散期になっている時期を狙ってのものである。

「富士宮やきそば」ヒットへの道のり

こんにちは、3年の斉藤です。

今回のブログのテーマは「イベントのマーケティングを考える」。私の担当はB級ご当地グルメで一躍脚光を浴びた「富士宮やきそば」です。
富士宮やきそばとは、富士宮市独特の製法で作られるやきそばで、一般的な焼きそばより麺のコシが強いので歯ごたえがあります。さらに、肉ではなく豚のラードの絞りかすである「肉かす」を使い、ソースで炒めた後に鰯の魚粉をかけて食べる、という特徴があります。

富士宮やきそば学会 公式ホームページ

1-1.目的

『空洞化した中心市街地の活性化を踏まえた地域振興』
単にやきそばを売ること、業界の収益を高めることが目的ではありません。富士宮市にすでに定着しているやきそばを「ブランド化」することで富士宮市の周知性を高め、観光客を増やそうというデスティネーション・マーケティング(=特定の地域を観光目的地とし、需要を創造するマーケティング)だと思われます。

デスティネーション・マーケティングに影響を及ぼす外部要因である「自然資源」「気候」「文化」の3つについて、富士宮市を分析しました。
①自然資源:富士宮は富士山が近いこともあり、天然の湧水がとれることでも有名。さらに富士宮では高原キャベツが採れる。
②気候:高低差が3741mと、日本一高低差のある地域。
③文化:富士宮やきそばが作られ始めたのは終戦直後。当時は保冷技術と交通手段が未発達であるが故、移動中に麺が腐ってしまうという難題を抱えていた。そこでマルモ食品工業の創業者である望月氏が、ビーフンを再現しようとして蒸し麺を作ったのがはじまり。さらに老舗の「さの萬」が、当時不足していた天かすの代わりに、肉かすを使用すればさらにおいしくなると提案したことにより、肉かすを使用する製法が広まった。こうして生まれたやきそばは、安価で炒麺に似ていたので、女工や元兵士たちにとって受け入れやすいものとなった。

要するに、終戦直後という文化の背景や、地元でとれる自然資源によって生まれた富士宮やきそば。さらに、高低差で気候の変動が激しくても一年中作れるというメリットを持っているので、デスティネーション・マーケティングのツールとして富士宮やきそばは最適だと考えられます。

参考:富士宮やきそば Wikipedia

1-2.顧客

STP分析すると、
・セグメンテーションとして、まず大きく「富士宮市を知る地域内の人々」「富士宮市を知らない地域外の人々」の2つに分けられ、前者はさらに「富士宮やきそばを知る人々」「富士宮市を知っているが富士宮やきそばは知らない人々」に分けられる。
・大まかなターゲットとしては、「富士宮市を知らない地域外の人々」と「富士宮市を知っているが富士宮やきそばを知らない人々」。

1-3.顧客へのアプローチ

マーケティングミックスの分析をすると、、、
地域独特の食べ物(Product)であり、そのご当地グルメを提供するお店(Place)が分布しており、庶民の食べ物なのでリーズナブル(Price)。つまり4Pうちの3Pはすでに満たしていました。

そこで、残るPromotionのために行ったのが、『マスコミの報道を活用』です。

 ・コンセプトとパフォーマンスを分けて考える。
富士宮やきそばの出張サービスに関しては、コンセプトは富士宮やきそばの普及活動であるが、パフォーマンスは「ミッション麺ポッシブル」とし、3地域のやきそばの食べ比べイベントは「三者麺談」といった感じに。
・「タイミングに、C調に、無責任に。」
マスコミは意味斬新な情報に反応しやすい、という特徴を踏まえ、取材時にはパフォーマンスについて「言葉の力」を重要視する。特に、マスコミにも消費者にも受けがいいC調(=一見馬鹿馬鹿しくて軽い)を利用する。サービス・エンカウンター(=顧客がサービスに出会う場所や時間のこと)でC調を取り入れることでより消費者も注目し、受け入れやすい。
・他地域との共同企画。
富士宮市制60周年に合わせて、同じくやきそばで町おこしを行う秋田県横手市と群馬県太田市との「三者麺談」や、北九州市の「小倉焼うどん」との食べ比べ対決「天下分け麺の戦い」、「B-1グランプリ」の開催。
・大手旅行会社との提携。
「麺財符」という食事券や「麺税店」といったC調を盛り込んだ「ヤキソバスツアー」などの、バリエーションを持った格安のバスツアーをJTBやはとバスなどの旅行会社に提案。

富士宮やきそばの関連業界や地域にもたらしている経済効果は非常に大きいです。また、ボランティアとして行っている活動なので、ノルマや業務に対する計量的な責任がありません。さらに、地元地域の富士宮焼きそばを取り扱う事業者からは商標使用料=ロイヤリティを徴収しないので、エンパワーメント(=現状の状況に応じて従業員に権限移譲すること)をもっています。事業に携わる者や地域の事業者、行政にとっても特別なリスクなしでプラス効果だけを得られる「WIN-WIN」という関係が成り立っているので、インターナショナル・マーケティング(=企業が自社の従業員を対象として努力すること)も自然と行われていると思われます。

一昔前までは「B級ご当地グルメ」などという言葉もあまり浸透していませんでした。そんな中、資金のないボランティアとして始まった活動が実を結び、今では全国に広まった「富士宮やきそば」。地元の人々の富士宮への思いが、大きな成功への第一歩につながったのかもしれませんね。

東京マラソンとマーケティング


こんばんは!三年の浅田です。
今回は東京マラソンをSTPや、マーケティングミックスの観点からまとめます。
東京マラソンについての概要は先にブログ記事を書いた二人も、書いていたので割愛させていただきます。。

①「目的」は何か

・東京都の観光振興
・マラソンをきっかけにした陸上競技のアピールをすること
・オリンピック誘致において、安全かつスムーズな大会運営が可能であることを示すこと
・高齢化社会を迎える人たちの対する健康維持のツールとしてのランニングの提案
②「顧客」は誰か
・東京都外の国内の一般市民の参加者
・東京都の観戦者としての市民
・テレビを通じて東京マラソンを見る市民
・広告手段として支援品を提供する会社
③顧客に対して、どのようにアプローチしたのか
・前日までに受付をすませないといけないシステムにして、地方や海外から来た人々に宿泊を誘発するようにした。また、東京マラソンの前日までの三日間に東京マラソンエキスポを開催することで、参加する人々はもちろん、応援に行く人たちの大会に対するモチベーションを高めていると思う。
・オリンピックや世界選手権に派遣されるマラソン代表選手はあらかじめ指定された複数のレースのいずれかに出場し、一定の成績をおさめることになっている。その複数のレースの中に東京マラソンを含むことによって、レベルの高い選手を確保できる。レベルの高いレースであればテレビを通じて東京マラソンに触れる人も多くなるだろう。
・定期観光バスのコースとほぼ重なるコースにすることで、東京都外や、国外の参加者に対して観光PRも同時に行っている。東京のど真ん中を走ることは滅多にない機会であるため、参加者に強い魅力を感じさせるポイントになっているはずだ。
・東京マラソンは、三万人を超える参加者、一万人を超えるボランティア、テレビ放映に加え、有名人の参加者も多いため会社は支援品を提供することで、大きなアピールの機会を得ることができると思う。スポーツ用品のメーカーとしては、有名人に製品を着用して、SNSに投稿してもらうという方法でも広告として機能すると思う。
東京マラソンについて調べていくほど、イベントの発信力の大きさを感じました。
ニュースやテレビなどで取り上げられているのを見たときは気づきませんでしたが、様々な立場の人々が東京マラソンをアピールや交流のツールとしていることはとてもおもしろいなと感じました!

瀬戸内国際芸術祭のマーケティングを考える

こんにちは! 3年の小山です。

今回は瀬戸内国際芸術祭のマーケティングのついてまとめてみたいと思います!

瀬戸内国際芸術祭とは、瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代美術の国際芸術祭であり、トリエンナーレ形式(3年に一度開催される国際美術展覧会)で開催されています。
2010年に開催された第1回では延べ約94万人の来客者を数え、さらに規模が大きくなった2013年の第2回では来客数約107万人で順調な成果をあげています。
また、2016年には第3回も予定されていて前回同様大きな成果が期待されます!

(参照:瀬戸内国際芸術祭-Wikipedia)

それでは、具体的に瀬戸内国際芸術祭のマーケティングについてまとめてみたいと思います。

1.目的

瀬戸内国際芸術祭は、大まかにいうと「島の元気」と「海の復権」を目的に始められたそうです。

具体的には、

・芸術祭を通して、過疎高齢化の島を元気にして、香川の観光力を高める。また、舟運や二次交通等のインフラを整備させる。

・美術や文化による地域づくりのモデルとして、世界的なネットワークをつくる。
といった目的があるそうです。

こうした地域の活性化を目的とした芸術祭の開催は最近では珍しくなく、「大地の芸術祭」(新潟県越後妻有)や「いちはらアート×ミックス」(千葉県市原)、「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」(山形県)など、アートによる地域振興は今ブームになっているそうです!

2.顧客

瀬戸内国際芸術祭は、地元の近隣住民だけではなく、主に都会に住んでいる若者の人々に来てもらうことを1つの目標として考えています。また、国際芸術祭と銘打ってるので、海外の人々も顧客として考えてもいいかもしれません。

つまるところ、「これまで瀬戸内近辺をはじめとした里山や島々を訪問することがあまりなかった人々」が瀬戸内国際芸術祭の顧客なのではないでしょうか。

3.アプローチ

まずは瀬戸内国際芸術祭をSTP分析してみると、目的は以前にも述べたように、都会に住んでいる若者の来訪、ですので、目指すべきポジションとしては「都会では見ること、感じることのできないアートによる芸術祭」なのではないでしょうか。

つづいて、マーケティングミックスの4Pの視点からこのポジションを目指してみると、

Productは、多くの国や地域から参加してくれたアーティストによる現代アート作品であり、3年間の準備期間があるので非常にいい出来の芸術作品が期待できると考えられます。

Priceは、前売り券は4000円(2013年、1シーズン)ですが、これはその期間中なら何度でも使えるものであり、後述しますがこの芸術祭は来客者が日帰りではなく2,3日の滞在をすることを前提としていますので、相応の金額かな、と思います。他に比較対象があまりないのでよく分かりませんが…。

Placeは、都会では味わうことが出来ない大自然と現代アートの融合ということで、瀬戸内の島々で開催することによって価値を創造することができると思います。これは、瀬戸内国際芸術祭の持っている強みでもあります。

Promotionは、公式サイトを作って内容をわかりやすく何か国語にも対応できるようにしたり、Twitter公認アカウントを日英バイリンガルで運営して、SNS上でのつながりを大事にしたりなどして、国内外問わず色々な方法で広めていったそうです。

(参考記事:【インタビュー】瀬戸内国際芸術祭2010:ウェブ制作とオンラインプロモーションの道のり

また、今回はデスティネーション・マーケティングということもあり、観光目的地でもある瀬戸内の島々の地域住民との関係性が問題となって浮かび上がってきます。

そもそもこの瀬戸内国際芸術祭は島々すべてを美術館のようにまとめて展示している構成上、全ての展示物を見るには1日だけでは足りません。そこで、来客者に旅行のような形で来てもらうことが考えられるため、必然的に宿泊等地域の施設を利用することが考えられます。これによって、地域の経済が活性化し、地域住民も多くの人が島を訪れることによって元気になり、実際島民の8割以上が継続開催を期待しています。

以上が瀬戸内国際芸術祭のマーケティングのまとめです。
アートというものは人の感性、インスピレーションによって成り立つものですので、それらを最大限感じることのできる環境づくりが大事だと思います。

いつもと違う環境で、いつもは見ることのできない作品を、いつもとは違う見方で感じることができるこの芸術祭に足を運べば、何か新しいモノがうかびあがるのではないでしょうか。一度作品を実際に見に行きたいものです。

(画像引用・記事引用→Art Setouchi 公式サイト