テレビCMとインターネット

経営学コース3年の阿部です。

テレビを見ていると毎週のように新しいCMが流れますよね。ゼミの初回で15秒CMを制作しましたが、商品の特徴や価格も伝えた上で印象に残る15秒というのは本当に難しいと思いました。

試行錯誤の末に世の中に放たれるテレビCMですが、普段あまりテレビを見ない人にはなかなか知ってもらえませんよね。というのも、私があまりテレビを見ないのです。コンビニにいって「何これ?」と思ったものが実は発売前からCMで話題になっていた・・・ということがよくあります。YOUTUBE等の動画サイトでもCMが流れるようになりましたが、5秒たつとスキップできてしまうので伝えたいことを存分に伝えられません。テレビをほぼ見なくてインターネットが中心の人にはどうやって商品を知ってもらうのだろう・・・と疑問に思っていました。

しかし、YOUTUBEにもテレビでいうタレントのような有名な動画投稿者が存在しており、その方たちとのタイアップ動画で消費者に知ってもらうという方法があることを知りました。

テレビCMとインターネットでのタイアップ動画の違いですが、テレビCMをじっと見る人は少ないはずなのでまず何よりも視聴者が「何だろう」とCM自体に興味を持つようなものにしなければなりません。しかしテレビCMの長所は誰にでもどの年齢層にでも見てもらえるチャンスがあるということです。
対してタイアップ動画は、消費者は既にその動画投稿者に興味を持っているため商品の特徴などを伝えることに全力を注げます。しかし短所があり、その動画投稿者が10代の若者に人気だとしたら視聴者層が限られてしまいます。

テレビとインターネットでは中心となる年齢層や、同じ年齢層でも興味関心も持つものが違ったりするのではないかと思います。
テレビとインターネットの特徴、それぞれの長所短所を理解した上で販促におけるテレビとインターネットの連携なども学べたらと思っています。

新商品の販売

経営学コース3年の上川です。
お菓子や飲み物などの手軽に買えるもので、新発売!や期間限定!と言われると、どうしても気になってしまいますよね。特に今までになかったような新しい発想の商品だと、どんな味がするのかな、どんな食感がするのかなと思ってしまいます。
テレビCMや電車内の広告などでも、様々な新商品が紹介されていますが、気になりはしても買う商品は多くはないですよね。その中でも、買ってしまうものの特徴は何なのでしょうか。最近話題になった商品で考えてみました!

まず一つ目は、ハーゲンダッツの華もちシリーズです。

 

http://www.haagen-dazs.co.jp/products/minicup/

アイスなのにお餅⁈という意外性が発売前から注目を浴びた理由だと思います。私も食べたいと思っていたのですが、人気であったため発売後すぐに販売中止になってしまい食べることができませんでした…

もう一つは、つい先日発売されたサントリーのヨーグリーナです。

乳酸菌 発酵のおいしさ 水は100% 南アルプスの天然水

http://www.suntory.co.jp/water/tennensui/product/yogurina.html

発売前から、よくCMで見かけていた気がします。

水に味がついているという商品はこれまでもいくつか発売されていますが、それらのほとんどがフルーツなどの風味でした。ヨーグルトの味がする水。ただのヨーグルト飲料ではなく、透明な水なのにヨーグルトの風味がするというのは不思議で、どんな味がするのだろう?本当にヨーグルトの味はするのか?と消費者に疑問を持たせます。私も部活の先輩に薦められて、買ってみましたが予想以上にヨーグルトで美味しかったです!

これらに共通するのは『○○なのに△△』という意外性と発売前から注目を集めていたという点であると思います。
マーケティングを行う上で、この意外性を生み出すのが一番大切なことだと思っていました。しかし、もう一つあまり良くない共通点があります。発売直後に、あまりの人気から販売中止になってしまった点です。せっかく宣伝をして、注目を集めて、これからという時に製造が追いつかないというのは、とてももったいないことです。生産量に見合った宣伝をすることも、ある商品の息を長くするためには必要なことなのかなと思います。

東洋経済ONLINE(http://toyokeizai.net/articles/-/67103?page=2)によると、サントリーは 試し買いの比率やリピート率を予測し、販売計画を立てる手法をとっていたが、今回はそれが通用しなかった。理由としては、宣伝量とともに知名度が上
がるのではなく、事前にネットを通じて情報が拡散し、すぐに『買ってみたい』という行動を捉えきれていなかったとされています。
SNSが普及したことは、マーケティングにおいてポジティブな要因になっていくとばかり思っていましたが、製造量を決定する上では思わぬ障壁になってしまうこともあるようです。

ある部分がよくても、一つでも良くない部分があると上手くいかないという事こそがマーケティングの難しいところなのかもしれません。
こういった難しさもこれから学んでいくことができればと思っています。

球場名物の確立

こんにちは!

経営学コース3年の長澤です。

私はプロ野球が大好きで球場にもよく行きます。野球観戦がもちろん最大の目的ですが、球場で売っている食べ物も楽しみの一つです。

先日横浜スタジアムに行ってきたのですが、ここの名物は崎陽軒のシュウマイです。ハマスタに来たらシュウマイを食べなきゃという謎の使命感に襲われます。球場内売店にはシュウマイ単品も売っていますが、ハマスタにしか売っていないシウマイカレーなるものや定番のシウマイ弁当など幅広い品揃えとなっています。もちろん味も最高です!

他の球場の場合だと、例えば東京ドームだったら東京ドームの色と形のモナカアイス、神宮球場だったらソーセージ盛りなどといった名物があります。

このようにこの球場といったらコレ!という名物が確立できているというのは、球場で食べ物を売る側にとって効率的ですし、野球を見に行く側としても野球以外の面で楽しむことができるので非常に良いことに思えます。

ではそれぞれの名物はどのように広まっているのでしょうか。

一番大きな要因は口コミだと思います。球場ごとの名物を紹介しているサイトもありますし、球場でこれを食べたよという写真付きのSNS投稿もよく見かけます。私自身はプロ野球ファンの友達と球場のおすすめフード情報を交換したりしています。ネット社会の現代ではやはり口コミ情報が強いのだなと感じています。

と書いてて気づきましたがこれもネット上の口コミになりますね。これを見て球場フードを食べに行ってみよう!と思っていただけたら嬉しいです(^^)

京王グループカレンダー フォトコンテスト2016

今週からゼミのみなさんがいろいろと投稿を始めてくれる予定です。どんな感じの記事ができるか楽しみにしているところですが、せっかくなので自分でも適宜続けていこうと思う次第。で、大学に向かう京王線で見つけたのがこれ。

京王グループがフォトコンテストを開催しています。ウェブを見ると、昔から実施されているようです。写真を撮って、アップロードする。入賞したりすると、カレンダーにもなるし、商品ももらえるしというイベントですね。


京王線・井の頭沿線の風景 フォトコンテスト

フォトコンテスト自体は昔からありましたし、多くの企業が広告をかねて募集をすることもよくあります。今風に言えば、顧客参加型イベントであり、人によっては、「価値共創」だというかもしれません。いずれにせよ、顧客の積極的な参加によって成り立つイベントだということになります。

デジカメやスマホの普及により、写真を撮るという機会が圧倒的に増えました。誰もが日常的に写真を撮ります。そうしたライトユーザーも取り込むことができれば、こうしたイベントはとても盛り上がるだろうと思います。ウェブを見ると、「カメラ女子への撮影アドバイス」というリンクも用意されていますので、実際にライトユーザーの参加も期待されているのでしょう。

その一方で、こうしたフォトイベントに興味を持ちそうな方は、ヘビーユーザーの方々でもあります。もともとはこうしたコアな人々を対象にしていたコンテストでしょうし、今も入賞するのはこういう方々なのでしょう。よく見ると、ポスターに移っている人々は、猿ですら、デジカメやスマホで写真を撮ってはいません。せっかく子供が描かれているのに、その子まで一眼レフを使っているようにみえます(このあたりは、京王グループというよりも、協賛している企業の意向かも)。

撮影条件を見ると、結構厳しい要件ですね。いよいよデジカメやスマホでは難しいかもしれません。

デジタルの撮影条件
 ※約A3サイズ大伸ばしで使用のため
(1)高画質モード
(2)1,000万画素(10メガピクセル)以上、または3,648×2,736ピクセル以上

ネットを用いた価値共創的な事例では、簡単に多くの人々を集めることができます。ただその一方で、具体的に誰を集めるのかという問題は、マーケティングの基本的な問題としてついてまわるように思います。広くライトユーザーを集め、彼らの認知や選好に影響を及ぼしたいのか。それとも、ヘビーユーザーを集め、彼らのロイヤルティ向上であったり、あるいは何かしらリードユーザー的情報を集めたいのか。あるいは両者の交流のようなものまで見据えるのか。

この時代に、コアな方にターゲットを絞りこむのはちょっともったいないかもしれません。例えば、個人的には、募集をすごい写真と簡単な写真の2部門にわけ、簡単な写真の方は、カレンダー1ヶ月分にでも小さく集約する(1000枚とか)ことで画質の問題をわからなくさせてしまえば、裾野も広がっていいのかな、などと思った次第でした(すでにそういう仕組みもあるのかもしれませんし、それはそれで、今度は審査の手間の問題がでてくるのかもしれませんが)。

交換が価値を生む

マーケティングの基礎概念の一つは、交換(exchange)です。この交換の実現がマーケティングの目的であり、そのために複数の機能をマーケティングは提供している、と言われます。

2006年、『仮想経験のデザイン』という本をみんなで書きました。個人的に念頭にあったのは、セカンドライフに代表される仮想空間であり、この中で生み出される仮想商品や仮想通貨が実際に価値を持つという現象をどのように説明すれば良いのかということでした。その一つの答えは本に書いた通りですが、発想を逆転させることでした。

すなわち、本来価値がないはずの仮想商品や仮想通貨がどうして価値を持って交換されるようになるのか、ではなく、むしろ交換される過程に、いかにしてこうしたモノが入り込んでいったのか。価値があるから交換される、ないから交換されない、のではなく、交換されるから価値が生まれるという発想の逆転です。

当時、この話をしたときに、確かカルビーの方に質問された記憶があります。なるほど、それはおもしろい。ではマーケターとして考えたとき、次の問題は、まさに「いかにして」交換の過程に自分たちの商品を組み込んでいくのかである。どうしたらいいのか、というわけです。当時は、正直あまり答えがなく、それがマーケティングの仕事ですよね^^;とお茶を濁しました。この問題はケースバイケースであり、事例を丹念に追う理由もここにあるわけですが、今ならば、もう少し答えられるかもしれません。

セカンドライフとは別に、類似したケースがいくつか集まってきました。いくつか、というよりも正確には一つ^_^。以前書いた通り、基本的に無料であり、文字列の集まりでしかない顔文字が、今日、LINEを始めスタンプとして課金の対象になっている。それは、いかにして可能になったのか。

スタンプのことを考えていて、交換の過程とは、ようするにコミュニケーションの過程だと、言い換えることができるように思い始めました。人々がコミュニケーションをする。何気ない日常の会話でもいいのかもしれません。その過程に入り込むようになること。その過程において、例えば特定の単語が意味を持つようになります。人々が会話で^_^を用いるようになる。特定の言葉(多分商品名でもいい)を使うようになる。なるほど、そういうものがあるのだと人々が認識し、対象化して捉えるようになる。この対象化が社会的に共有されれば、それが実体として社会的に構築される。実体となった^_^は単にさまざまに解釈されるというだけではなく、実際の形を伴って変化していきます。@_@ T_Tといった新しい顔文字を生み出すこともあれば、デコメールやそれこそLINEのように、より高度な形で課金の対象になることもある。このときすでに、僕たちはそれらが交換に組み込まれてしまっていることに気づくことになります。

価値があるから交換されるわけではない。交換されるから価値が生まれる。そしてその交換の過程とは、人々のコミュニケーションの過程にその言葉が入り込むことから始まる。

そう考えると、例えば昨今のバズの重要性ももう少しマーケティング論としてうまく捉えられる気がします。バズが必要なのは、あるいは商品名を認知してもらうというのは、単に想起の可能性や購買の可能性を高めているのではなく、人々のコミュニケーションの過程に入り込み、交換の過程に入り込むことを目指しているというわけです。みんなに知ってもらうことが大事なのではなく、バズっている状態自体が大事だと言うわけです。

もう少し言えば、何かを交換するとは、それが価値あるものとして見なす契機を常に含みます。僕が誰かと話をする。その話の内容は、常に、何かしら価値のあるものとして、僕が見なすこともあれば、相手が見なすこともあるものです。もちろん、どうでもいい天気の話をしているのかもしれない。しかしあるとき、その天気の話がとても大事な話につながることもある。その可能性があるのは、ここではコミュニケーションが進んでおり、どうでもいい内容でも相手の解釈によって新たに意味を与えられる契機を有しているからです。この交換が繰り返されたとき、相互にその内容が意味あるものであり、価値あるものであると認識したことになる。2者間であろうと3者間であろうと後は同じ気がします。

セカンドライフの仮想商品と、LINEのスタンプはおそらく同じ論理で説明できます。さて、次の課題は、もっと典型的な商材についてでしょう。例えば、水やお茶はどうでしょう。僕が子どもの頃、お茶や水にお金を払うという発想はありませんでした。けれども、ある時から水やお茶を買うことは当たり前になった気がします。さて、水やお茶を買うようになったのはなぜか。ここは正直ちょっとアイデアが必要かな、、と思いますが、試しにさしあたり同じ論理で考えてみましょう。まず発想をひっくり返します。いかにして本来価値がなかったはずの水やお茶が価値を持って交換されるようになったのか、ではなく、いかにして交換の過程にこうした商品が入り込んでいったのか。一つのアイデアとしては、これもコミュニケーションの文脈においてみて、例えば、ペットボトル化されていくこととその可視化を考えてみる。ちょっとまだ弱いですね。ここがうまく議論できるようになれば、2006年来のアイデアをまとめることができます。

鮮度管理

 『ゼミナールマーケティング入門 第2版』(日本経済新聞社、2013年)には、鮮度管理の事例としてカルビーのポテトチップスが出てきます。ポテトチップスは、店頭にずっと置いておかれると、油が回っておいしくなくなってしまう。そこであるときから、カルビーは、ビジネス上の指標を売上から鮮度に置き換えたーー鮮度(による)管理の始まりです。

 鮮度が大事だと言うことではなく、鮮度をビジネス上の指標にすると言うことが大事だろうと思います。通常、ビジネス上の指標は売上でしょう。ポテトチップスであれば、どれだけ店頭に押し込めるかが重要になる。けれども、店頭に押し込めば押し込むほど、鮮度は悪くなります。短期的に売りは立ちますが、味は落ち、長期的には顧客離れを誘発しそうです。
 一転して、鮮度をビジネス上の指標にした場合、押し込みはむしろ鮮度を下げる悪手とみなされるでしょう。むしろ、鮮度を保つための小ロット配送というアイデアが重要になってきます。あるいは、実販売の見込みと生産を連動させる重要性が増すため、小売店と密な連絡が必要になってきます。関係性の構築が重要になるという話につながるところです。

 そんなこんなでマーケティングを考える上で欠かせない鮮度管理のアイデアですが、実際問題として、どのくらいの回転を前提にしているのかということは興味のあるところ。ふと、トロントでポテトチップスを見て気づいた製造月日と販売日を見てみましょう。こちらでは定番のLays。どこにでも売られており、おそらく回転も速い。フリトレーによって販売されており、ジャパンフリトレーは現在カルビーの子会社だったりします。

 February 7 – April 21とあるので、たぶん、2月7日に作られ、賞味期限が4月21日までということですかね。買ったのが3月1日ですので、3週間強、店頭に置かれていたことになります。鮮度管理、どうかな。。。

 さて、ポテトチップスをコンビニやスーパーで調べてみると面白そうです。


研究の方法についての若干のアイデア

ちょっと忙しくて書くネタを思いつくこともなかったので、別途ぼんやり考えていたアイデアを少しまとめておくことにする。一応、マーケティング分析の範疇に入るだろうか。

2011年に反響のない本をまとめたとき、研究の方法として、事例研究とケースメソッド(ビジネススクール)の接続のようなところを書いた。その後、2014年にもう少しビジネスよりのリサーチの方法を少し書いたとき、ZMET、内観法、それからオブザベーションを紹介した。

実は後いくつか、ぼんやりと関連しそうな研究の方法があり、これらはいずれもそのままになっている。アクションリサーチ、ワークショップ、それから当事者研究である。これらがどう関連しているのかはよくわからないのだけど、いくつかの共通点はあるのだろうと思う。

2011年との関連で言えば、研究の方法として、理論的な話と実務的な話をうまくリンクさせるような(それは通常の意味での、仮説の正しさを経験世界で検証するという類いの意味ではなく)、そういうものだろうと思う。2014年との関連で言えば、より実務的な方法として、新しいものをうまく発見できたり、みんなで共有できるような、そういう方法なのかなと思う。

一昨年あたり、一番議論しやすいと思っていたのは当事者研究であり、ビジネススクールとのはまりがいいと思っていた。実務の方々がわざわざビジネススクールに来て、修士論文を書くとすれば、それは多分当事者研究に近くなる。その時、研究としてどういう新しさが得られるのだろう。元々の当事者研究は、精神障害者支援の中で生まれた方法であり、彼らが自身の症状を研究する。その目的は、問題の解決ではないとされ、問題を外在化させつつも、引き寄せて抱えなおすことが重要だと言われる。ビジネススクールの多くの修士論文でも、求められているのはそういうことのように感じる。


正直ここで止まっていたのだが、たまたまこのところアクションリサーチの論文を読んでいて、もう半歩ぐらいうまく考えられるような気がした。なぜか引用されていたハーバーマスの『認識と関心』によれば(といっても、読んでみてもそう書いてあるかどうかよくわからなかったのだが)、解放的利害は3つの方法の一つとして位置づけられる。この位置づけは、意外にも、僕も当事者研究がそうかなと思っていたことだった。似たようなことを考えている人がいるとすれば、やっぱり、アクションリサーチと当事者研究は同じような方向で捉えられそうだと思ったのだった。ビジネススクールと事例研究もこのラインで押さえられる、はず。。。

ただまだ、具体的になにが新しくわかるようになるのかがはっきりとしない。たぶん、この答えがわかれば、旧来の2つの方法の限界をうまく補完できるようにもなるのだろうけれど。もう少し実際にやってみながら、考えてみる必要がありそう。

WDW補足資料など

 ディズニーが面白かったので、売上の推移等を少し探してみました。データありますね。まとめて表にしておきます。

 現在ディズニーは5つのビジネスから運営されているようです。ただ、インタラクティブというのはまだ実験的という感じで、スタジオエンターテインメントも今ひとつ位置づけがわからなかったので、メインはメディアとリゾート、それからグッズ販売ということかなと思います。

 先のブログ「遠足は行くまでが一番楽しい」ではリゾートがすごいということだったわけですが、収益をみるとやっぱりメディアなんだということがわかります。営業利益の差がどんどんと大きくなっている。マジックバンドにしても、もちろん顧客関係のマネジメントとしてみることもできますが、大枠からいくとメディアとリゾートの連携を強めていくということなのかもしれないと思った次第でした。

ディズニーのメディア戦略というのはあまり知りませんが、関係ありそうな本もいくつかありますね。。(中身を読んでいないので参考程度ですが。)

 

遠足は行くまでが一番楽しい

マーケティングに優れたサービスの一つに、ディズニーランドがしばしば挙げられます。日本のディズニーはもとより、本場アメリカのディズニーランドともなると、規模も大きく、場所柄もあり、子供でなくても楽しめます。

Florida, OrlandoにあるWDWに行く場合、その広さからして日帰りは難しいところです。近くにホテルをとるか、あるいはワールド内のディズニーホテルに泊まることになります。当然、予約をする必要があるわけで、今であればネットで予約が取れます。

予約をするということが意味するのは、ディズニーにとっては、いつ誰が来るのかを知るきっかけになります。この情報は、おそらくこの手のサービスにとって、とても大事なことです。なぜならば、「遠足は行くまでが一番楽しい」からです。いやもちろん、行ったときも楽しいわけですが、これは大事なことです。

ディズニーホテルの予約をすると、ディズニーから定期的に連絡が来ることになります。「あと60日ですね。」「今日からファストパスを選べますよ。」「荷物に貼っておくタグを送ります。」「いよいよですね、忘れ物はないですか?」メールでの連絡はもちろん、しっかりと個人名が書かれた案内状?まで定期的に郵送されてきます。いやがうえにも期待は高まります。特にディズニーがうまいと思うのは、あまりしつこさを感じないというところです(個人差があるかもしれませんが、ここがノウハウなのかも)。スパムという感じもない。

もし、予約を入れる必要がないサービスを提供している場合、この「遠足は行くまでが一番楽しい」過程に入り込むことはできません。そこはただ純粋にその人だけのものです。けれども、特にサービス財の場合には、プロセスの管理が重要になるといわれます。サービス・マーケティング・ミックスによれば、サービス財は形もないため、通常の物財以上の配慮が必要になるわけです。その一つがプロセスの管理です。遠足に行くまでを射程に収めるディズニーのマーケティングは、なるほどと思った次第でした。

ディズニーがサービスを瞬間的なものではなく、一連のプロセスとして捉えていることは、例えば、ソロモンの『消費者行動論』のテキストにも記載されています。

「ウォルト・ディズニー社は携帯電話がテーマパークでの経験を高めることに期待している。ウォルト・ディズニー・ワールドでコメディショーの列に並んでいる人は、テキストメッセージでジョークを送ると、これから見るショーの中でそれが使われるかもしれない。重役の1人はこう説明した。「ショーにとって必要なウォームアップの働きをするとともに、待ち時間にも客を楽しませることもできる」(第9章、ネット上のコラム)。」

意識せずに読んでいるとへーそうなんだというだけですが、サービスとはどういうものであるのか。その満足はどうやって決まるのかということを考えてみると、彼らの周到なマネジメントがみえてくるように思います。ちなみにたぶんこれ、Monsters, Inc. Laugh Floorのことかなと思いました。CGアニメのコメディショーなのですが、インタラクションで観客とやり取り(客いじり)するのがすごい。どうやっているのかよくわかりませんでした。アニメに見せかけて実際に声優がいるのか、あるいは、観客がサクラ?ではないでしょうし(笑

ちなみに、ホテルに着くと、噂に聞いていたマジックバンドがもらえます(アメリカ国内であれば、事前に郵送されてくる)。これ、2013年に導入されたというハイテク機器ですね。部屋の鍵や入場パスの代わりはもちろん、あちこちでスタッフが撮ってくれるデジタル写真を後でまとめてダウンロードできる(もちろん有料ですが)。


~ディスニーワールドの新サービス「マジックバンド」、今春にもRFIDチップを活用した「MyMagic+」システム導入へ~

今のところディズニーの外に出てしまうと役に立ちませんが(アクセサリーとしてはもちろん使えますが)、何となくやりたいことはわかるような気がします。ネットや、こうしたデジタル機器はユーザーとつながっている状態を作るのに都合がいい。ディズニーに行く前だけではなく、もちろん行っている時だけではなく、日常においても、うまく関係性を構築維持し、また時に働きかけられるようにしておくというわけです。

いや、よくできているなと改めて思った次第でした。

AIBOの「治療」を考える



つらつら新年の記事を眺めていて、みつけたのがこれ⬇

製造元に捨てられたロボット犬「AIBO」。”治療”にあたる元エンジニア集団

これは興味深い。年末ボケが吹き飛ぶ勢い(笑。ということで、少し書きながらアイデアを考え直してみることにします。

記事のベースになっているのは、1999年に発売され、2006年に発売が終了したSONYのAIBO。販売が終了しても、しばらくの間は修理部品を補完しておく必要があるわけですが、この期間も2014年3月に終了したということで、修理窓口「AIBOクリニック」もなくなったとのこと。これだけであれば、他の製品でもありそうな話ですが、ペットでもあったAIBOだけに、もう少し話がややこしい。

既存のユーザーとしては、ペットとしてAIBOに期待するものは、死なないこと。にもかかわらず、故障し、動かなくなってしまうのは正直意外。その保証がなくなってしまうことは、ユーザーの心情としては確かに受け入れ難いかもしれない。さらに、そうした心情をくむようにして、A・FUNという元ソニーの方の会社が修理を請け負うようになり、注目を集めているということ。

興味深く感じるポイントは大きく3つ。第一に、こうした生命に関わるようなハイテク商品が背負うことになる旧来とは少し異なるようにみえる倫理的問題。確かに、iphoneやlexusもまた製造者責任的なものは背負うであろうし、販売終了後、部品保管期間終了後も、ユーザーが残り続けるであろうことは想像に難くありません。けれども、AIBOのような心情を引き起こすのかどうかといわれると、ちょっとよくわからない。技術と倫理というテーマを考えれば、一つのトピックに違いない。(倫理というと、どちらかというと広告であったり、エコ系の話を想像しがちなのですが、たぶん、技術の問題を考えた方が広がりがある)。

第二に、ユーザー側の心情は、なお考察に値する。機械に感情移入するとはどういうことなのか。さらにこの問題は、企業側のマーケティング施策にも影響を及ぼします。AIBOが登場した当時、日本ではある程度売れたものの、アメリカでは必ずしもヒットしませんでした。そこでソニーは、商品のリ・ポジショニングを考えます。この際の議論のテーマは、一つには、機械に感情移入する日本人という性格であり、それとは異なるアメリカ人にもAIBOは受け入れられるのかどうか、ということが問題になりました。さらにこの問題は、そもそも、なぜSONYはAIBOなるものを開発したのか、というより上位の戦略にも関わることになります。このあたりはハーバードのケーススタディで議論されるハイテク・マーケティングの定番。

Sony AIBO: The World’s First Entertainment Robot

そして最後に第三として、そうしたユーザーの心情に対応し、新しいサービスが生まれているという現実。例えば、Abandoned brandの事例として良く知られるApple Newtonの場合、ユーザーによる再開発・再販売の希望はかなえられないまま、結局ユーザーの自発的な開発行動にとどまりました。それ自体、確かにユーザー・イノベーションであったり、ユーザー・コミュニティであったともいえますが、今回の場合はそれとも少し異なります。ハイテク=ユーザーにはその原理がわかりずらく、同時に、倫理的な問題に関わる?からというべきなのか、あるいは、もう少し別の説明の仕方ができるのか。

もう少し考えられそうな気もしますが、ひとまず思いついたところまで。アマゾンでマーケティング倫理やハイテク・マーケティングで検索してみたのですが、日本語の本ないんですかね。。。